下の息子は甘い物が大好きである。コーヒーや紅茶にも砂糖を入れる。いくら注意を促してもやめない。以下は息子に読ませるために書いたが、少しぐらい効果があればと期待している。

新型コロナウイルスは、体中の血管を駆け巡り、血管が弱くてウイルスが増殖しやすいところを攻撃してくる。
血管に悪い影響を与える高血圧や糖尿病や感染などが刺激になって内皮細胞が傷害されると、その部分の血管壁の中に脂肪物質がたまって厚くなり、“おかゆ”のような状態になる。この“おかゆ”状の病変を「粥腫」といい、これは崩れると血栓となり血液の流れを止めて脳梗塞や心筋梗塞を招く原因となる。

動脈硬化の危険因子として、「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などあげられる。
危険因子の中でも「高血圧」「高脂血症」「喫煙」は特に重要で、3大危険因子と呼ばれている。


今回は、新型コロナに感染した場合の既往症といわれる、高血圧、肥満、糖尿病に関して考えてみる。

【高血圧】は、高血圧を「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれる。、静かに忍び寄ってきて、やがては心筋梗塞や狭心症の原因となる。細い動脈の硬化を促すだけでなく、より太い動脈に生じる硬化も進める重大な危険因子である。動脈硬化が進みやすい血圧は「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合」である。

【肥満】は、血液中の脂肪が過多になりやすく、さらに高血圧、高尿酸血症、糖尿病などを合併しやすいので、ほかの危険因子にも大きな影響を及ぼす。
肥満の程度を示す指標としてBMI(ボディ・マス・インデックス)があります。次の式で簡単に求めることができる。
BMI値=体重(Kg)÷[身長(m)×身長(m)]
日本肥満学会の基準では、19.8~24.2は「正常範囲」、24.2~26.4は「過多体重」、26.4以上は「肥満」となっている。今回のコロナの既往症と認められるのは、BMI値30以上である。

【糖尿病】首の動脈の肥厚、脳血管障害、虚血性心臓病、大動脈硬化、足の閉塞性動脈硬化症などが、高頻度にしかも全身にわたって起こりやすくなる。。
糖尿病になると動脈硬化のほかの危険因子、とくに高血圧、高トリグリセライド血症、低HDL血症などがしばしば起こるようになる。

このように見ていくと、コロナに打ち勝つには血管を丈夫に健康的に保つことである。


血管の主要な材料は、たんぱく質である。血液中に多量のブドウ糖があふれている高血糖状態が繰り返されると、このブドウ糖と血管壁のたんぱく質が結びつき、「糖化」という現象を起こす。血管壁に糖化が起こると、酸化ストレスによって血管の働きが阻害されたり、組織に変性が起こったりすることから、動脈硬化が進行してしまうのである。糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs:エイジーイーズ(終末糖化産物)」と呼ばれる。
AGEsは血管だけでなく、体のあちこちで発生、蓄積され、酸化ストレスによって体内をどんどん老化させる。さらに、AGEsは血管壁の内部にも侵入し、そこに炎症を引き起こすことによって、動脈硬化の進行に拍車をかける。

甘い飲み物や、甘いお菓子などを食べると、血糖値が急激に上がりインシュリンの分泌が追いつかなくなると、ブドウ糖と血管壁のたんぱく質が結びつき、「糖化」という現象を起こし、血管壁の損傷を招くのである。

血管が丈夫で免疫力も高ければ、口や鼻から侵入したウイルスも上気道で攻撃されてそれ以上にはならない。しかし、免疫力が低く血管も傷ついていたりするとウイルスは上気道を通り抜け下気道にまで達するのである。下気道というのは、気管、気管支、肺のことで、ここまでウイルスが到達して増殖し始めるといわゆる中等症と呼ばれる状態になる。高齢になると基礎疾患や老化により免疫力が落ちたり血管が傷ついたり硬化したりして、上気道まででウイルスを追い返せないのである。動脈硬化は高齢になって始まるのではなく、0歳児から徐々に始まり、その後の生活環境によって程度に差が出てくるのである。不摂生な生活をしている若者は、血管の老化が進んでいることがある。

細菌性の肺炎は肺胞の中で起こるが、ウイルス性の肺炎では肺胞と血管の間の間質で起こる。

これが、毛細血管の密集する肺で起これば、新型コロナウイルスはここぞとばかりに増殖して炎症を起こす。肺胞と血管の間には間質というものがあるが、体の中の白血球はこれらのウイルスと戦った結果、浸出液という液体が出きて、間質が水浸しになってしまい、空気を吸っても間質の液体に邪魔され、血管内に酸素が届かなくなる。正に水に溺れて呼吸できない状態となるのである。それだけではなく、これらを排除しようとして自分のカラダの免疫が暴走するサイトカインストームという要素も大きく関与してきて更に症状は悪化する。
こうして炎症を起こした肺の細胞の壁、間質、血管の壁によって酸素の移動ができず呼吸ができなくなってしまうのである。

コロナに打ち勝つためには血管を傷つけてはだめなのである。どのような砂糖であれ免疫の低下を招く。そのためにも砂糖はご法度である。飲み物に砂糖を入れる習慣はやめた方が良い。糖質の中でもゆっくりとしか血糖値を上げないものがあるが、砂糖は急激に血糖値をあげる。人工甘味料の中にも砂糖と同じような作用をするものもあるので要注意である。

新型コロナを機会に食生活を見直すのもいいかもしれない。