絵画は平面であるから、2次元である。平面に立体を描くことは一種のだまし絵である。非常なテクニックを要する。


若い頃は絵画の基礎勉強だと思って石膏デッサンなどをせっせとやったものだ。芸大へ入ってから、デッサンなどの基礎はあった方が良いが、絵画制作のほんの一部であることが分かった。西洋美術の遠近感を表現する一技法に過ぎない。2次元平面に3次元空間を表現する西洋絵画の伝統技術である。


ヨーロッパの美術館を片っ端から見て歩いた結果、これは日本の伝統絵画からは程遠い物だと感じた。


2時平面に2次元処理をした絵画を試行錯誤した結果、実に気持ち的にスムーズに表現できるようになった。


絵を描くということは、創作行為である。写真技術が発達した結果、西洋絵画は行き詰まり、原始絵画や東洋絵画にその逃げ道を求めたのである。それを又、日本の絵かきが真似するというのは本末転倒行為である。


平面ガエルの東洋人には平面的に表現するのがナチュラルであると、鏡を見るたび思うのである。


近頃の絵はほとんどが2次平面に2次元処理をした絵を描いている。最近では、その傾向が強くなって、抽象的になってきた。


絵画の制作は一つの世界を創ることである。
自作の作品を組み合わせて新たな世界を作り出すこともある。次から次へと湧き上がるイメージを作品にするが間に合わない。