インプラント治療の手術当日(予想を超える力技に震え上がる。)
遂にインプラント当日。前日の昨日ほどは緊張しない。俎板の上の鯉の心境かなと思った。
当日までにあちこちのブログを読んで、患者の感想を読んでみたところ、それほどのことはないようである。変な方向に生えてきた親知らずを抜くほどのこともなさそうである。
色んなサイトを見たけれどこの以下のサイトが一番わかりやすく書かれていた。
インプラントとは?はじめての方必見!治療から手術、費用まで基本をまとめ|インプラントネット
歯茎に穴をあけてチタンのインプラントを入れ、生体とチタンが密着したら、人工歯を入れて完成である。
私の場合は、部分麻酔をかけて歯茎に穴をあける。
チタンの歯根を入れたら一度閉じてから、傷が癒えたら抜糸してチタンと生体がうまく密着するのを待つ。その後再び歯肉をひらいてアパットメントとを取り付ける。
上部アパットメントに人口歯を取り付けて出来上がりとなる。
最初は普通の歯科の椅子に座らされて、口腔内の消毒をして麻酔注射をされた。ここまでは何ということもない。しかし、手術のために奥の椅子の方に案内されて 、ここで手術をすると言われる。コロナでなかったときは手術室でしていたが、密閉性が高いので今は使わないということであった。
で、ハンカチをバックから取り出そうとしたが、看護師に「手は出ませんから、ハンカチは必要ありません。」と言われ、今一つ意味を解しかねていたら、わらわらと看護師たちが周りにやってきて、椅子を寝台の様にフラットにして、まず首から下を紺色の分厚い布で覆ってしまった。えっと思う暇もなく頭の上に布をかけられ、それをスナップで先ほどの体にかけられた布と連結。次に顔の口の周りを覆う布をかけられ、口の周りだけ開けた状態にする。
この状態では、何も見えない。周りで何をやっているのか全く分からないので、急に不安になってくる。以前親知らずを抜いたがこんなに大げさではなかった。
次に、更に何か所も麻酔注射をされる。少しっ立てから「穴をあけますよ。」と先生の声。何も見えないのでドリルで穴をあけるのかと思ったら、歯茎に穴を手動であけ始める。先生は大柄で力が強そうな人であったが、この人がかなりの力でゴリゴリと歯茎に穴をあけ始めると、頭が枕に押し付けられて、麻酔が効いているとは言えども、この力技にビビってしまった。口の中には何やら塩辛い味がして、血が次から次へと流れ出ているのが分かる。助手の看護師さんがそれをバキュームで吸い上げている。
この顛末を患者が目を開けてみているときっと恐ろしくなるのを防ぐために顔に覆いをしているのだと納得した。
やっとこのゴリゴリが終わってほっとしていると、「今から、ドリルで穴をあけます。少々頭に響きますが、麻酔が効いているので痛くはありません。」という先生の声。
もう穴は開いたのでインプラントを埋めるだけだと思っていたが、今からドリルで穴をあけるって、それまでの穴は一体何だったのかと考える。きっとあれはドリルを差し込む誘導の穴だったのだ。
それから、ドリルでガーガーゴーゴー穴をあけられる。これがまた頭が枕に押し付けられる程の力である。血がさらにどくどく流れているのが分かる。
以前に先生から、血圧は高いか、その薬を飲んでいるのか何度も聞かれたが、このドリルで穴をあけられて血がドックドック出てきて止まらなくなったら、インプラントどころではなくなる。幸い私はその心配はなかったのでほっとしながらドリルが頭蓋骨に響く後を聞いていたが、いつまでも終わらない。口の中には血が溜まっていくのが分かるが、看護師さんはうまくその血を管で吸い上げてくれない。舌や内頬を管が吸い付いていたい。
かなり時間がたって、「今から傷口を縫います。」という先生の声にほっとしたが、こんなに大変な手術とは思ってみなかった。針で丁寧に縫っているのが分かる。ヒーッという感じである。やっと解放されたのが1時間後であった。「ありがとうございます」と言おうとしたが麻酔で口や舌がまともに動かないので、むにゃむにゃ言って痛み止めと化膿止めの薬をもらって、また明日の消毒の時間を予約して帰った。
全身麻酔で目が覚めたら終わっていたと言うブログばかりが目立ったが、部分麻酔の場合詳しく書かれたものはなかった。人は時間がたてば、その大変さも忘れてしまうものである。それで、忘れないうちに、家に帰ったらすぐにメモったのである。一体どんな風なのか鏡を見てみたら、唇の端にまだ血がついていたのを見て、生々しさがよみがえり思わず武者震いをしてしまった。
麻酔が切れた後はさほど痛くはなかった。体は熱くなって又出血するといけないので当日はシャワーだけで済ます。噛むという仕草ができないので、何でも飲み込まざるを得ない。太いストローを用意しておけばよかったと思う。
はっきり言って、部分麻酔のインプラントの手術はかなり迫力があるから覚悟しておかなければならない。歯科のブログに出ている患者の感想はインプラントの広告だと思った方が良い。