お正月の「葉ボタン」の美しさが身に沁みる。

花の少ない冬の季節、特にお正月を飾るのにふさわしい大輪の花は、葉ボタンである。
今までなんとなく見ていた葉ボタンは、今年のお正月には、哀しいほど美しく見えた。


病院の玄関に置かれた葉ボタンは、病気の人々を迎えたり見送ったりする年始年末の花である。


全快して退院する人にとってはお祝いの花かもしれない。


しかし、お正月も自宅に帰れない人もいるに違いない。せめてそんな人の慰めになればと玄関先を飾っているのだろうか。


お正月に病気の息子を一時自宅に連れ戻ったことがあった。その時も、あちこちの玄関先に葉ボタンの花が飾ってあったのを思い出す。
しかし、それらの花に心動かされることはないほど悲惨な思いであった。


今年のお正月に地震に見舞われた能登地方の人々はきっと花を眺める余裕もなかったに違いない。


それでも日にちが経つに従って残った人々の心の癒しになるのは、花であるとしみじみ思う。
ほんの一時、悲しみを和らげてくれるのは、花の美しさ、か生命力か。
倒壊した家屋の一角に置かれた花のブーケが涙を誘う。