水色のカーネーションがひときわ鮮やかに見える。

病院の玄関に飾ってあった生け花が余りにも色合いのコントラストが不調和で違和感を覚えた。

日本には華道という生け花の構成が大成されているにも拘らず、欧米の投げ入れのアートフラワーが日本にも入ってきて、見るに堪えない生け花があちこちで見受けられる。
日本の華道は左右非対称の破調の美ではあるが、その根本原理は自然界の法則に基づいているので、人の心に対して違和感がない。
四季の変化のある日本の気候で、コントラストの強い高彩度の花に対しては、かなり慎重にアレンジして落ち着きのある色の配置を工夫するのが普通である。
青と赤、赤紫と緑は補色対比の色で混ぜればグレーになる。このような補色の色の組み合わせが2組もあるこの生け花の場合、南国のジャングルのイメージを漂わせている。
この生け花の近くには七夕の笹飾りが置いてあったし、往々にして総合病院の玄関のインテリアは地味で落ちついたものが多い。
試しに、ピンクと水色の色合いを淡くしてみると少しは調和がとれる。

ピンク以外の花を白か緑にするとかなり落ち着いてくる。
十二単の重ねの色目に見る微妙な天然色の配色に見習うべきかもしれない。
古代色は、相応にしてくすんだ色目のものが多い。その中で彩度の高い赤系統の色は一種類で良いのである。
これでもかこれでもかと言う様に満艦飾にするのは、神経を逆なでされる気分である。

最近では、この鮮やか過ぎる花のアレンジに疑問を呈する人が増えたせいか、緑の葉っぱに緑の花という自然帰りの傾向が注目されるようになってきた。
江戸時代の版画の着物の模様には、大柄で鮮やかなものが多いが、当時の照明は暗く視力矯正の眼鏡も高価なものであったため、少しでも目を引くように構図や色彩の配置が工夫されたのではないか。現代におけるゲームの色彩なんかも同じようなことが言えるのではないか。
実際の床の間に生けられた花は、もっと自然に近いものであったはずである。
色彩に関する書物はいろいろあるが、ほとんどが色の説明と調和色に関してで、組み合わせの悪いケースはあまり書かれてはいない。