生まれつき音と臭いの感度が良すぎて生活に差し支えるほどであったが、年とともに少しづつ限界値が低くなってきたようである。特に香りに関しては良いこともあった。雑踏の中ですれ違う人の香水の香りに魅了されて、自分でも香水を買うことから始まり調香するように迄なった。

何と言っても緑の香りが、さわやかで気に入っている。森の香り、草の香りなどは動くことができない植物の自衛の手段でありお互いの情報交換のための複雑な暗号でもあった。それを視覚化してみようとしたのが香りの世界を表した香曼荼羅である。

濃厚な花の香りは、香水として再現することは難しい。しかし、バラの香水の様に、天然のバラの花びらを集めて作られたものは素晴らしい。単花香としてはバラの香水は最高だと思う。
合成で作られた香水で魅力的なのはサソウという資生堂の香水である。ストレスがたまった時はこの香水球を枕元に置いて眠った。
カレーシュと香水は読書する時の香水である。
サムサラという香水はエキゾティックな香水で古代の東洋を旅行しているような気持ちにさせてくれる。

色んな空港につくとその国独特の香りがする。海外に行くと必ず行くのが、市場、デパート、動物園、公園などである。その国の生活の匂い、香りと色合いが混ざった世界を体験できる。その上に、街の音と聞き慣れない言葉のさざ波が、香りをのせて流れてくるのは、実際に海外にいることを実感させてくれる。その実感を日記のように書きとめたのがこれらの絵である。ホログラムの箔は香りを表現するのには最適である。
香りの世界と箔の世界と音の世界は、混然一体となって一つの異次元の世界を創っていく。こんな世界に足を踏み入れた私は日常の世界に戻ってくるのが難しい。