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銀箔は酸化の具合によって様々な色合いを呈する。右は、もともと銀色だった銀箔が長年の間にやけてしまって茶色になってしまったものである。左は黒箔で、銀箔を焼いて黒く変化させたものを箔屋で私が買ってきたものである。黒箔は酸化が進んでいるので銀のような粘りはなく直ぐに砕けてしまうので扱いに注意を要する。

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右から、赤貝箔、青貝箔、クラシック箔。それぞれ独特な風合いで趣がある。私はやってみたことがないけれども、銀箔を焼くためには間紙にムトウハップを染み込ませて乾燥させたものを作り、その紙の間に銀箔を挟み込んでおいておけば変色するらしい。急いで手作りしたいときは、ムトウハップの紙で銀箔をはさみ、上からアイロンを掛ける。これは、芸大の時に実際やっていた人の作業を横で見ていたので確かであるが、硫黄の匂いがあたりに立ち込めて、日本画の絵の具に影響しないかと心配になったのを覚えている。

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これらの焼箔の廻りを切り取って集めたものを、箔屋さんで100グラム単位で買うことがある。焼箔自体よりも色合いが様々で綺麗である。この焼箔の切り回しに自分で「古代箔」と名前をつけた。

焼箔自体は見た目は綺麗が、酸化を止めるために上にドウサなどを塗布すると、あっという間に変色して茶色っぽくなるのが残念である。特に青貝の輝きがなくなる。それで、うえに酸化ドメをかけないこともある。「花の命は短くて・・・」じゃなくて、「銀の命は短くて、変色することのみ多かりき。」である。