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「しけ引き」の技法は、特別な筆(連筆)や刷毛(馬の尾で作った硬い平筆)で筆跡を残して色を置く手わざである。

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しけ引きの技法は、折のついた扇の場合、その効果を十分に発揮することができる。

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単純な筋目の筆跡が、扇の山折りと谷折りの部分でジグザグとして複雑に見えるからである。

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ただ単に筋目に引くだけならば、フリーハンドで直線を引くことができればすぐに出来る。
絵の具をどの程度筆に含ませるかを得とくする必要がある。

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又、筆によっても感じがかなり変わる。いろんな筆で試してみるのもいい。

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この扇は、小石と砂子の箔地の上に、胡粉ぼかしをし、最後にしけ引きで緑の筋を入れている。

目立たない職人技は、フリーハンドで引かれた筋目が、扇のカーブに綺麗にそっていることと、右から左、左から右へと遜色なく腕が回っていることである。ものを作る人は、両利きの努力をすべきかもしれない。そんなこんなで、慣れるまで時間がかかる。手技というものが、前面に出てはいけない。素朴な手わざとよく言われるが、単に不器用なだけの場合が多い。そんな不器用なだけの手わざを売り物にしている土産物を見ると、複雑な思いにとらわれる。