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我が家の息子は、「値段と美味しさが反比例するものは羊羹である。」と言って憚らない。即ち、老舗の高価な羊羹は、マズイ。反対に、安物の羊羹ほど美味しいと言う。よく聞いてみると、水ようかんは美味しいが、練り羊羹はマズイということらしい。イオンの安い水ようかんが一番美味しいらしい。まあろくなものを食べさせていないからなのか。

個展をすると、必ずと言っていいほど、老舗の羊羹をいただく。タバコをとコーヒーが嗜好品の私にとって、羊羹よりチョコレートのほうが有難い。それでも薄く切った羊羹に濃いお茶をいただくとほっとすることもある。一本の羊羹は1ヶ月ぐらい冷蔵庫の中で少しずつ痩せながら眠るハメになる。しかし、なにもないときは有難い常備品でもある。16世紀の終わり頃に発明されたということであるから、羊羹の歴史は古い。甘ければそれだけでよかった時代には、貴重品であったであろうが、こんなにいろんなスウィートが出回っている現代では、練り羊羹をマズイという息子に、あれこれ言う気も失せる。

海外の人に共通して、美味しく無いというナンバーワンのお菓子は、羊羹である。この羊羹のことを、彼らは、「甘い消しゴム」と呼ぶ。
一体どんな羊羹を食べたのであろう。きっと、上等の練り羊羹だったような気がする。