2012-08-09_0024

20代の弟子が出来ました。ひとはこの弟子のことを変人だという。何故に変人かというと、絵を描くこと以外、全て拒否。それを聞いて、私は喜んだ。

こんなやつでないと、教える気にはならない。最後の砦のように、これがなくなったら私はおしまいみたいでないと芸事は身につかない。造形学科へやって来る学生の何割かは、絵を描くぐらいはまあまあ出来るるからという理由で選んだ輩がいる。そして、卒業すれば、もう絵なんか描かない。それでも生きていける。在学中も、バイトに明け暮れ適当に単位をとって、妥協だらけの卒業制作をやって、専攻科目とは縁もゆかりもない所へ就職。それでも、手が器用で頭の回転もよく要領がいい輩は、大手企業のデザイン室に就職できるが、やっぱりもう創作活動はしない。そんな輩をいやというほど見てきた。

だから、不器用で要領が悪くてもいいから、この道しか生きる道はないという人のほうがいい。時間はかかるかも知れないがブレることがない。お金より名声より好きなことを職業に選んで生きてゆきたいと切に願うなら、大概の事には耐えられる。ひと目には苦労でも本人にとっては充実感である場合が多い。ただ一つのことを中心に世界を広げてゆけばいい。貧弱な自分を乗り越えるために、何が必要であるか時期が来れば自然と分かるものである。大切なことは、周りの雑音に惑わされることなく自分らしく生きることである。

この変人の弟子は、普通一般社会から見れば、変わり者の部類に入るかもしれないが、10年後20年後にはきっと、廻りから羨ましがられるような生き方をしていると思う。私はそのためにちょいと手を貸そうと思う。そして私にもちょいと手を貸してもらおうと思っている。助け合いである。

【後日談】
この弟子も早くもギブアップしてしまった。
なにしろ絵具で絵を書いたこともなければデッサンしたこともないという人であった。私が病気になったら早くも逃げ出してしまった。
この後に来た手伝いは、1ヶ月でギブアップ。本人が病弱なので仕方ない。先に言って欲しかったな。