UVレジンやエポキシレジンなどの樹脂の黄変について。
実家が、化学研究室へ資材を収める会社であったので、小さ頃から樹脂について色んな話を聞かされてきた。自身も作品を作り始めるとすぐに色んな樹脂を扱い始め、注文でオブジェを作ったりもしてきた。その度、気になったのが、樹脂の黄変である。何十年も昔に比べればかなり品質は良くなったとは言え、樹脂の黄変は避けることが出来ない。
上の写真は、ポリエステル樹脂の黄変で、1年ぐらいから黄変が始まった。
2液性のエポキシ樹脂は、硬化剤自体が黄色なので黄変は仕方ないが、それだけではなく経年変化でさらに黄変は進む。この樹脂はもともと金属とガラス質を接着させる目的で開発された樹脂である。高度が高いことから傷がつきにくいのでボタンやアクセサリー等装飾用に使われると黄変の少なくするための改良が行われた。たまたま、エポキシ樹脂の研究所の方と懇意にしてきたことから、エポキシ樹脂の変遷を目の当たりにすることが出来たが、用途によって色んな種類があり、現在、レジン工芸で使われている2液性のエポキシ樹脂がどの種類のものかはよく知らないので、通販で取り寄せることにした。
一週間や一ヶ月ぐらいでは、黄変の実験はできない。まして、ガラスの内側に貼り付けて実験と称することは出来ない。そのガラスの紫外線透過率が問題になるからである。屋外において、紫外線や風雨に晒すことを暴露テストという。最近ではいい機械ができて、一年の暴露テストが一日で済んだりして、実験器具も進歩している。
私の場合、この暴露テストをしているうちに、副産物としてアクセサリーが出来ていった。
これらは、UVレジンで作ったもの。UVレジン自体紫外線硬化する樹脂であるということは、紫外線劣化や黄変は当たり前にあるということである。
工芸用のUV樹脂が色々売り上されているが、価格と品質は対応しないことは断言できる。もし、価格と樹脂の品質とが対応していると断言する人がいるならばそのデータを示してほしい。
透明度が高く、黄変せず、高度が高い樹脂は、今のところ存在しない。現在樹脂で工芸をしている者にとって出来ることは、主剤と硬化剤の量を正確に計量する事、樹脂の管理に気を使うこと、作業中の環境などに注意してデーターを残すことではないか。湿度室温位の記録は簡単にできると思う。
NETでレジンのブログを見ていると、疑問に思うことが多々あるが、制作しながら、写真を取ることは難しい問い事だけは真実である。
人に見せるための製作は制作、記録は記録として別個に行うべきだと思うが、手伝ってくれる人がいない。写真を撮るのが上手でなければならないので、誰でもというわけにはゆかないのも問題である。
今のところ、ガラスよりも高い透明度のある樹脂は、アクリル樹脂である。その上、アクリル樹脂は黄変しにくいという長所がある。ただ、エポキシ樹脂ほどの高度はないが、透明な注型物にはほとんどこのアクリル樹脂が使われてきた。この樹脂が一般化しない理由は、扱いが難しいということである。しかし全ては慣れである。特に、オルゴナイトの注型にはこのアクリル樹脂を使うべきである。単に固めるだけでなく見た目の美しさも考慮するなら、透明度の高い黄変の少ないアクリル樹脂を使うべきである。
色んな樹脂がある。
すべて使いこなせるわけでもないが。
それぞれの樹脂に対応した溶剤も必要である。この他にもまだまだある。換気扇4台。私の仕事場は、芸術家のアトリエというより工場のようである。こんなアトリエに誰がした?
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