ロールシャッハテストの画像は「作・造・創」の訓練に最適。
左右対称のモノトーンのインクのしみの画像をどのように解釈するかによって被験者の心理を分析しようとするのがロールシャッハテストである。
しかし、人の認知特性は様々である。視覚優位、言語優位、聴覚優位など色んな認知特性があり、経験や文化的背景等によっても大きく違ってくる。ロールシャッハテストは、視覚特性の人にとって良い分析媒体かもしれないが、それでも言語表現力が大いに関わってくる。被験者との会話の取っ掛かりにはロールシャッハの画像は良いかもしれないが、それ以上でも以下でもないように思う。
造形クリエイターを目指す人にとって、複雑なロールシャッハの画像はイメージの訓練にとって最適である。
複雑なロールシャッハ的画像を見ていると、物語が次々に湧き上がってくる様な人は、きっと漫画家に向いているのであろう。漫画家は、絵もさることながら、ストーリー性が優れていなければ成立しないようである。
これらの画像から単にいろんな生き物の形態を読み取るだけの人がいる一方、その生き物のユニークな物語性まで思い描くことのできる人もいるはずである。しかし、これとても、より多くの読書と訓練である程度までは可能ではないか。その訓練の一つにこのロールシャッハ的画像が役に立つ。
ファンタスティックな世界の一場面を想像する人もいるかも知れない。
なにもないところからオリジナリティーあふれる妖怪を想像することは難しいが、こんなロールシャッハ的画像を造れば思わぬ姿の妖怪が思いつくというものである。
見たこともない魑魅魍魎の世界のアイデアもたやすく思いつくことができる。
ケント紙にシーラーを2度ほど塗って乾かし、墨でいい加減に絵のようなものを描いてもう一枚のツルツルのケント紙か厚手のPPフィルムを押し当てて剥がせば元画像の出来上がりである。
元画像をデジカメで写真を撮るか、スキャナーで直接PCに取り込む。
PCに取り込んだ画像を画像処理ソフトで左右対称にすれば出来上がりである。
左右対称であるから、生き物の顔に見えるのである。この画像なんかは気持ち悪いETが両手を広げているように見える。頭では思いつかない顔である。
こんな画像を作り始めたら止まらなくなる。次はカラー版を造ることにする。
「つくる」という字には、「作」、「造」、そして「創」の3つがあるが、このロールシャッハ的画像をつくり、そこからユニークな生き物をつくり出す工程で、「作・造・創」の3つの作業を経験することになる。