人はネガティブになったりポジティブになったりしながら生きているが、ネガティブな傾向から方向転換しにくい人がいる。
ネガティブとはマイナスすなわち死の方向を向いているのである。それに反してポジティブすなわちプラス方向とは生命の輝く方向を向いているのである。同じ生きるのなら、生命の輝き、生きる喜びの方向を向いて生きたいものだと考えるのが普通である。


ネガティブな人は心の奥に破滅願望を抱えている場合が多い。この破滅型の人の根は深い。10歳までの生育環境が大いに関係してくる。育つ環境は子供には選べない。育つ環境というのは毎日受ける洗脳のようなものである。もし自分のポジティブ傾向がどうしても方向転換できなくて悩んでいる人がいるならば、それはあなたのせいではないということである。


自分が根の深いネガティブ人間かどうかは、不安と不満、そして憎しみと恨みと怒り悲しみの感情にとらわれていることが多い華道家で判断することが出来る。もし、ネガティブ傾向が強い場合、根が深ければ深いほど自分の力だけではどうにもならないのである。


ネガティブ人間は自分の方から破滅に向かって行くのは、常に潜在意識の方向がマイナス方向を指しているからである。それ故、物事がうまく行っている時でも、「こんなはずはない」と思い自分の方から破滅に向かって行くのである。このような失敗が続くと、挫折感から自己否定が増し自信を失って自分は何をやっても駄目なんだと思い込み、いよいよ破壊傾向に傾いていくのである。


失敗して当たり前の不幸な自分に慣れてしまうと、幸せな自分というものには居心地が悪くなり、自滅的要素ばかりを自ら引き寄せてしまう結果となる。
やがてこの傾向がエスカレートすると「自分は人に好かれない」という気持ちが「自分は絶対に人に嫌われる」という確信に至り、他人の生活まで破壊するようになる。


この負の悪循環を一体どうしてプラスにするのかと言うと、自分ひとりの力だけではどうにもならないのである。だからと言って誰かが自分の一生を犠牲にしてでも助けてくれることはない。余程優秀なカウンセラーにかかった場合は少しぐらいはましになるかも知れないが、破滅願望のある人間は他人に対する不信の念が強いので、人の忠告を素直に聞くとも思えない。


この不幸なスパイラルに飲み込まれている場合、自分にその破壊願望が向くと自傷行為や自殺に結びつくし、他人に向かうと暴力行為や殺人に及ぶ。
新聞やテレビのニュースを見ていると、この不幸な負のスパイラルの結果だと思われる事例に多々出くわす。

普通はこの負のスパイラルと正のスパイラルの間を行ったり来たりするものである。大体は、沈む底まで来たら人は生きようとして自然に浮かび上がるものである。
この浮かび上がる時の状況を考えると、退屈になりすぎたり、やりたいことが見つかったり、人からの優しい言葉だったりするが、一番は褒められたり感謝されることだと言う結果が出ている。


その結を考えると、破滅傾向にある人の万能薬はボランティアだと思う。もともと自己破壊の傾向にあるのだから自己犠牲ぐらい屁の河童でもないのではないか。
自信がなくても他人の為に何か一つぐらいは出来るし、仕事じゃないからノルマもない。カウンセラーや精神分析に行くお金と時間を他人のために使うのなら、誰も文句は言わないし、むしろ褒めてくれるというものである。人との交わりの中で感謝されることほど人間の心にとって癒やしとなるものはない。

いつも「自分、自分」と思っていないで、目を自分とは反対の方向に向けるだけで方向は反転する。もし、ドツボにはまりそうなのにセルフコントロールがきかない時は目を自分から引き剥がすことである。ネガティブ型の人間にとって自分のためだけを考えて行動した結果、挫折してしまった時は再び起き上がるのが大変であるが、世のため人のためと思って失敗しても再起することは容易である。ただこの場合たった一人の人を的にすると逆効果になる場合が多いので、不特定多数の方向を向くのがコツである。それ故、ボランティアに参加しながらネガティブ傾向を補正する術を学ぶというのはいい方法だと思う。

【追】人の世は不平等の塊である。国も親も時代も選ぶことは出来ない。出来ることは、与えられた範囲での自己選択である。選択するには情報がいるが、一昔前とは違って情報過多の現代である。ただ、無限とも思える情報の中から自分にとって最良の方法を選ぶための努力だけは一生するべきである。NET検索をする場合は、根から葉っぱの先までやる習慣をつけるようにしないととんでもない情報に振り回されることになる。我輩の失敗からの反省でもある。ーHIROー