お正月になると空気がきれいになって気温も下がる。工場や商店が休み、車の往来も少なくなると二酸化炭素量が減少するからである。同じことが、最近の新型コロナウイルスの流行による経済活動の自粛によって引き起こされているようである。


1月、2月は冬とも思えない暖かさで、異様な暖冬で地球温暖化の影響だと気味悪がっていたのだが、新型コロナウイルスの感染者の増加に伴って不要な外出の自粛が叫ばれるようになり、気がつけば空気が澄み渡る日が多く夕焼けがやたらとキレイ。そこうする内に3月の末だというのに東京では雪が降った。


日本政府は30日、地球温暖化対策推進本部を開き、2030年度には13年度比べ26%削減するという目標はそのままにして、「確実に達成」するとともに「さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指す」とした内容の国連に提出する温室効果ガス排出削減目標を決めた。


新型コロナウイルスの世界的流行によって、地球温暖化の原因である二酸化炭素排出量の一時的減少を引き起こしているが、
地球温暖化の問題の根本的課題が解決されたわけではない。かえって、温暖化問題から注意が削がれてしまっている。
国連のアントニオ・グテレス事務総長は「排出量が数か月減少したという事実を過大評価してはならない。気候変動と闘うのはウイルスではない」と、名言を発している。


フィンランドの研究機関(CREA)によると、中国の二酸化炭素(CO2)排出量は3月1日までの4週間で2億トン減少し、前年同期比25%減となったという。新型コロナウイルスによる中国経済活動への打撃は大きく、地球規模でその影響を及ぼしている。


新型コロナウイルスの流行の影に隠れて問題の棚上げにしているのは、温暖化問題だけではない。
消費税率が上がって買い控え等が起こっていることや、株価自体が実際の適正価格を上回る上昇であったのだから、大暴落だと大騒ぎすること等は、全て100%新型肺炎のせいにしてしまえば責任逃れが出来る。
安倍内閣の諸問題も有耶無耶になってしまいそうである。


新型コロナウイルスの流行は、SARS以来据え置きされた世界の諸問題を浮上させたようである。
人類はいつまで経っても過去の歴史から学ぶ謙虚さがないのは、世界を我が手に握っているという尊大な政治家があまりにも多くいるからだと思う。

新型コロナウイルスは国のあり方を、世界の誰の目にもよく分かるように示した点において、期せずして、世界の国家判定の基準項目をとなった。そしてグルーバルという捉え所のない概念に対し明確な実例となった。