新型コロナウイルスは、毎年流行するインフルエンザより厄介で恐れられている理由は何なのか。


感染力は、インフルエンザのほうが強いが、感染するのはインフルエンザの症状が出てからである。一方、新型コロナウイルス感染の方は、症状が出なくても感染力を持つ。その上、症状が出る直前において最も感染力が強いので始末に負えない。何の症状もない感染者が歩き回りウイルスを感染させるという怖さがある。

全く目に見えないものに対する不安から、偏見や差別が起こり、これも又、人から人へと感染していく恐ろしさがある。特に医療関係者の家族に対する差別は、社会問題となっている。


毎冬インフルエンザによって、日本だけで1千万人くらいの患者が発生し、1万人程度が亡くなっている。しかし、それが原因で医療崩壊が起こったりはしない。では、新型コロナウイルスに感染するとどうなるのかというと、8割程度の人々は軽症で済むが、2割ぐらいの人が急激に症状が悪化して、ウイルス性の肺炎を起こし、持病があったり高齢であったりすると人口呼吸器なくしては生命を維持することが出来なくなり、病院の限られた集中治療室が足りなくなって医療崩壊を招く事態となる。この急激な病状の悪化とそれに起因する医療崩壊こそが新型コロナウイルスの恐ろしい特殊性である。

そうなると医療機関では、一般の患者を診れなくなってしまうのである。その上、1人の重症患者に対して看護する人は数倍必要となり、防護服やマスクも不足するようになってくる。更には、病院から医療関係者がやめてしまう事態まで起こる。


インフルエンザにおいてはワクチンや治療薬もあるが、新型コロナウイルスには未だワクチンも決定的な治療薬もない。その上、RNA型のウイルスは変異が早く約3ヶ月ぐらいで変異を起こすので、今のところこれから先の予想が全くつかないのが実情である。今後、強毒性に変異すればスペイン風邪の二の舞になりかねないのである。

そして何より厄介なのが、症状も治まり感染の検査をして陰性になっても、ウイルスは体の奥深くに潜んでいて再び陽性になることもある。

今の所、経済活動を一時停止させてもソーシャルディスタンスを優先させるしか感染を防ぐ方法はないのである。マスクと手洗いだけでは防ぐことは出来ないのである。

そして何より怖いのが、このウイルスの特殊事情を認識できない国の為政者が、2枚の布マスクで何と出来ると考えたことである。政府は、一息ついている今こそ次の準備を十分してほしいものである。