辛い病気のときに癒やしてくれるものは可愛いものでなければならないという真実
病気になるまでは、どちらかというと力強い作風のものが多かった。色合いも調和色やハーフトーンのものは少ない。特に、かわいい系のものをばかにしていたような気がする。
ところが、悪性リンパ腫の4期になって、抗がん剤治療を8クールも受けたときは、正直、もう死ぬかと思うほど衰弱してしまった。倦怠感なんていう生易しいものではなく息するのもやっとという有様であった。その時ベッドサイドに置かれた可愛い小さなぬいぐるみや額に入れた可愛い幼女のような観音像に慰められた。その時に、可愛いものは、人畜無害で、毒にも薬にもならない代物ではなく、弱った人の心身を癒す働きがあると確信したのである。
病人に「ガンバレ」「大丈夫」はご法度だというが、それは真実である。(私の若い担当医は顔を合わせるたびにガンバッテを連呼するので参ってしまった。)本人は生命レベルが最低状態で、やっとなんとか凌いでいるのである。「大丈夫」「ガンバレ」は重荷でありストレスでしかない。ひたすら楽になりたい一心である。そんな時ホッとするのは可愛くて小さなものである。
疫病退散のアマビエが、今、持て囃されているが、何やらもとの原画が禍々しいということもあって、NETにあげられているアマビエたちの多くはちょっと怖い感じがする。
それで、もし自分がコロナ感染した時に、ほしいと思うようなアマビエを粘土で作ってみた。
中空樹脂のかるーい粘土を使って1日で作ったのでちょっと荒っぽいが、可愛さの点では気に入っている。真っ白というのも押し付けがましい色合いがなくって楽である。
真っ白い雲の上でホワっと眠りたいという病人の願いを叶えてくれそうである。若い時には思っても見なかった心境である。
コロナで倦怠感に苦しむときには、きっとこんなアマビエが慰めてくれるはずという思いを込めて作ってみた。
可愛いものなんかには、見向きもしない長男が絶賛してくれときは、複雑な思いであった。一方、可愛い系大好きな次男は
「もっとシンプルな方がいい・・・ムーミンカモノハシみたい。」とボロクソの感想。
自信をなくす私。もう一度作ってみるか。