緊急事態宣言を軽く見る自分だけは大丈夫だと思う心理「正常性バイアス」の恐ろしさ
テレビのコロナインタビューを見ていると、緊急事態宣言が出ているにもかかわらず、他人事のように話している人や、コロナ慣れしたなんて言う人までいる。どうも自分だけは大丈夫だという正常性バイアスが働いているようである 。
バイアスとは、もともと布地を45度の傾きに切ったもののことであるが、そこから派生して、傾向、先入観、偏向などの意味がある。それ故、正常性バイアスをそのまま解釈すると、「正常だと思う傾向」ということになる。
正常性バイアスとはWikipediaによると、
「正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。
自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。「正常化の偏見」、「恒常性バイアス」とも言う。」
さらにウィキは続けて言う。
「人間の心は、予期せぬ出来事に対して、ある程度「鈍感」にできている。日々の生活の中で生じる予期せぬ変化や新しい事象に、心が過剰に反応して疲弊しないために必要なはたらきで、ある程度の限界までは、正常の範囲として処理する心のメカニズムが備わっていると考えられる。」
正常性バイアスが働いて、「毎日、コロナにおびえて生活していると心が疲れるし、今まで何ともなかったのだから、これからもきっと大丈夫。私に限ってコロナに感染するなんて考えられないじゃん。」とか何とかという独り言が聞こえそうである。
外食だって、「あの店の店長いつも元気そうだし、きっと大丈夫。それより友達に不義理することの方が怖いよ。二度と声かけてくれなくなるよ。」って、いろいろ言い訳をしながら出かけて行くのである。
いやなことはなるべく避けていこうという傾向があるので、勿論、インフルエンザと新型コロナの違いなんて確認しようとは思わない。仲間内では、「コロナなんてインフルエンザみたいなもんよ。」なんて豪語する。
知り合いがコロナに感染したと聞いても、「運が悪かったんだよ。俺は大丈夫。いつも悪運が強いから。」と根拠のないことを言って空威張りに終始する。
しかし、現状はどうだろうか。時々刻々と感染者は増え事態は悪化の一途をたどっている。昨日と今日、そして、明日もその次も、もはや同じ日常は訪れないことが分からないのだろうか。こんな非常事態に働く正常性バイアスとは本当に恐ろしい。
コロナに感染する確率は、日々増大しているにもかかわらず、医療崩壊はもう目の前に来ている。保健所は早くもパンク状態。コロナでなくても救急車を呼んでもいつ来るかわからない。今や助かる命も助からないのが現状である。
あの楽天的な政治家たちが、あたふたしだしたということは、時すでに遅しという異常事態なのだ。正常性バイアス満開のそこのあなた、あなたこそが、現在の非常事態を招いた一因なのだという自覚を持ってほしい。