「ぼくは、うさぴょん。もとはパンダのパペット(指人形)で、手足はちっこかった。ずっとずっと前にリサイクルショップのぬいぐるみの棚のなかから、僕はママに救い出されたん。連れて帰られてからも押し入れの中で眠っていたん。時々僕をじっと見ていたけれどある日のこと、裁縫箱と一緒に引っ張り出されてママは僕を整形手術したんよ。一時はどうなるかドキドキものだったん。何時間かの後、僕はうさぴょんに変身していつもママのおそばで過ごすようになったん。」


「整形手術の箇所は、目、鼻、口、耳、手、足で、ほとんど全身。昔の面影は目の周りの黒い輪っかの部分だけ。僕は生まれ変わったん。僕専用の籐の椅子も買ってもらったんよ。」


「ママは、言うのん。かわいいだけじゃダメ。強くなくっちゃ。それで僕は歯を付けてもらったん。下も付けると怖くなるので上だけにしたん。この歯はボタンなの。初めて見る人はみんな、すごい、っていうんだよ。」


「黒い立派な耳も付けてもらったん。耳の根元にはママのきらきら光るアームバンドがまかれているん。目は100均のおもちゃコーナーで買ってきたもの。鼻はチャイナドレスの留め具をリサイクルしたもの。」」


「手は、赤ちゃんの手袋で、元の小さな手とは全然違って、物も持つことができるし、拍手のパチパチも出来るん。」


「足は始めからなかったので、レッグウオーマーを継ぎ足してから赤ちゃん用の可愛いソックスを履かせてくれたん。これでウサギのダンスも踊れし、バックキックも出来るん。僕の蹴りはすごいんだ。自分の身は自分で守らなきゃ。」


「夜は猫ちゃんを寝かしながら、ママのそばで眠るんよ。

ママは言うん。かわいいっていうのは人畜無害なことで無防備なことでもあるんだって、でも、それだけじゃ生きていけないもんね。自分や大切な人を守れなくちゃって。可愛いだけじゃダメ、強くなくちゃって。そんなもんで、僕は可愛くって強いんだ。優しさってのは可愛くって強いことだって。」