この扇子の水墨画の絵は何か分かる人はいないと思う。
水墨の良さは下書きもせず気の向くままに何にも縛られずに描くことができることである。上のアイキャッチ画像が何を描いているのかは、きっと本人にしか分からないはずである。もし分かれば、あなたはきっと私である。
よく似た水墨がある。これも上のアイキャッチ画像と同じ時期に描かれたものである。
タイトルは、「ツチノコたちの相談」である。若いころに描いたものなのでちょっと気恥ずかしい。
このヒントからアイキャッチ画像をみれば、分かるかもしれない。
正解は、「ゴキブリたちの会議」である。会議もゴキブリも私の嫌いな物。
決して繊細で粋な水墨が書けないわけではない。上はトンボの絵である。
余談ではあるが、「神武天皇が嗛間(ほほま)の丘に登って国を見渡したところ、国の形が秋津(あきつ)(蜻蛉(とんぼ)の古語)に似ていたので秋津洲(あきつしま)と名づけた」という。日本海軍の軍艦にも秋津洲(あきつしま)という名のものがあるが、戦艦大和ほどには知られていない。
これは抽象的な図柄である。タイトルは「風」。目に見えないものが描けるのも絵ならではの良さである。
扇の整理をしていると昔の懐かしい扇子が出てき、思わず見入ってしまった。水墨のような絵というものは、それぞれの年代にしか描けないものである。過去の自分に出会っている気分であった。