台風14号が最悪のコースで西日本を通過する予報を見て、遂にやって来るのだと家の周りの飛びそうなものを整理する。息子はガソリンを満杯にする。こうしていくつかの台風の通過とともに暑かった夏が過ぎていくのである。


金魚を描いた扇面を組み合わせて、「台風とともに過ぎてゆく夏」の画像を作ってみた。


台風の時期に見る金魚は、夏への扉が閉じられてゆくのを象徴しているようで胸に沁みる。
子どもの頃は夏になると住吉神社の夜店で金魚すくいをしたものである。
ガラス瓶に買っていた金魚も9月に入ると少しずつ減って、2~3匹になる。

金魚が2~3匹になったころ、関西には台風がやってくる。そのいくつかがやって来ては去っていくうちにやがて夏の気配は消え失せて秋の気配日本列島を覆うようになる。

金魚と夏と台風は、毎年、8月の終わりから9月にかけて繰り返される三つ巴の行事のようになっている。気になるのは、温暖化で、夏の気温は毎年記録を塗り替え、台風の規模も大型になっていく。金魚だけはゆらゆらと何事もなく泳ぎ続けている。その金魚たちの胸鰭が、夏にさよならをしているように見える。

余談ではあるが、親戚に子供が夜店から貰ってきた金魚が何年も水槽の中で生き続けて赤いフナぐらいになった。狭くなった水槽の中をぬらぬら泳いでいる金魚を見ていると、いつの日か、この大きな金魚は赤い鯉になり、やがて赤い竜になって昇天するという想像をしてしまう。