青空に描かれた巨大な飛行機雲のクロス模様は、飛行機が偶然に描いたアート作品。
地球に張り付いた虫けらの私は、毎日空を見上げて空という宇宙を観察する。見えるのは雲ばかりであるので、何時しか雲の観察者になって、自分の住んでいる局所的な天気の具合を確かめるのが習慣になってしまった。珍しい雲を見つけると写真を撮って保存する。
雲は、空というキャンバスに色んな抽象画を描く。地球に張り付いたせせこましい自称アーティストのゲージュツ作品とは違って自然に描かれた絵はスケールが違う。
病院へ行く途中ビルの谷間からちらりと見えた時は、一体何なのか理解できなかったが、ビルを抜けて広く空が見える場所に行ったら、飛行機雲が偶然に空に描いたペケ印だと分かった。
時間と空間が違っているので2基の飛行機は激突を免れたのだ。左から右へ伸びた飛行機雲はまだ消えそうにないが、下から斜め上に伸びている飛行機雲は、時間とともに消えかかっている。
スマホを持ってあちこちへよろよろと飛行機雲を撮っていてもだーれも気にも留めないし、空を見上げる人もいない。街中の人は余り空を見ないようだといつも思う。見ているのは足元と進行方向と信号機だけなのか。
この飛行機雲は、見る方向によっては、交わることのない2本線かもしれない。
だんだん消えていく飛行機雲。もう少し早い時間にここを通っていたら動画を撮れたのにと思うと残念である。
飛行機雲が出来る条件としては、1万mから1万2千mで飛行機雲が出やすいそうである。ジェット機の燃料が高温・高圧で燃焼して排気されたガスに大量の水蒸気が含まれており、外気の冷たい空気で冷やされることで雲が出来るようである。しかし、明確な温度や湿度や気圧の関係は未だに不明らしい。地上の気温や湿度の影響もあるようで、今後の研究に待たねばならない。
先日防衛相が北朝鮮のミサイルの飛行機雲の動画を公開したが、遠くてよく分からなかった。Wikipediaのページで見つけたミサイルの飛行機雲が一番迫力がある。しかし、こんなのが飛んで来たら恐怖である。ウクライナでは、敵と味方のミサイルが無数の飛行機雲を作っているのだろうが、余りそのような画像は見かけない。きっと、当たり前で珍しくもなんともないし、生き死ににかかわる時にそんな写真を撮っている余裕もないに違いない。
飛行機雲を嬉々として撮っている私は平和で幸せなのだとしみじみ思う。