タコイチ(魚スーパー)に大きな肝が売ってあった。よく見るとエイの肝である。これは初めてあるので、珍しいからというだけの理由で後先も考えず早速買って帰った。


兎に角大きくて重い。20センチ×30センチぐらいある。大きさより問題は、すごく脂っぽいのでスマホで写真を撮るたびに手を洗剤で洗わなくてはならないことである。NETを見ながら料理する。注意事項の第一番は「胆嚢を切るな。胆汁の苦みが全体に回る。」と書かれてあって、大き目に切り取ることであるとも書かれていた。(するなということをするのが人間たるゆえんである。)


ところが大きめに切ったつもりが見事に胆嚢を切ってしまった。緑色の胆汁がドロッと流れ出てきてアタフタしたがもうどうすることもできない。まな板中に胆汁が広がっていく。NETのどこを探してもその対策は書かれていない。みんなこんなへまはしないらしい。洗い流すしかないが、胆汁がとれているのかどうかよくわからないので不安で仕方ない。この不安は最終段階まで続く。


よく観察すれば、肝臓にあいた穴は胆嚢からつながる胆管であるから、その先に胆のうがあるから注意さえすれば胆嚢のありかの見当はつくはずである。人間の胆嚢は肝臓から離れているが、エイの胆嚢は肝臓の中に埋まっているから厄介である。何事もよく考えてから行動に移るべきである。

良く洗ってから大きめにぶつ切りにする。この時点でも油はすごい。力を入れて持つと柔らかくてつぶれそうになるので取り扱いにも気を付ける必要がある。


兎に角、胆汁を洗い流し、塩を多めに入れて2時間ぐらい血抜きをする。胆汁の匂いが消えたかクンクン確かめる。それでも安心できないので更に1時間ぐらい血抜きをする。とても生で食べる勇気はないので煮ものにすることにした。


血抜きが終わったので生で食べてみようかとも思ったがやはり勇気が出ない。クンクン匂いを嗅いでみたが特に変なにおいもしないので、一応安心。


生姜とニンニクを刻む。


生姜とニンニクを入れてさっとゆでるが、次々と油が浮いてくるので、掬い取って捨てる。


醤油と味醂と料理酒を入れ弱火でゆっくり煮る。この時点で味見してみる。胆汁の苦みは一切しない。これだけ油を掬い取ったのに油こくってとろける様で美味しい。兎に角柔らかいので注意してスプーンで移動させた方がよさそう。


何しろ量が多いので瓶詰めを3個作って一旦冷蔵庫に入れて、ひとまず休憩。しかし、こんなに大変だとは思わなかった。かれこれ4時間半かかった。胆嚢を切っていなければ、きっとこの半分の時間で終わっていたに違いない。

エイ肝はしんどかった。へろへろ。