2022年を振り返ってみると、作品の制作に関してはかなり充実していた年であった。


お盆以降は、毎日ほとんどの時間を扇の制作・撮影とその編集に費やしたと言っても過言ではない。年を重ねるごとに、作品を見る目が厳しくなってなかなか納得できるものが出来なくて少し焦りもした。電子書籍を作るために過去の作品を見ていると、若い時は、やはり情熱のエネルギーがすごい。
あちこちに少し作品としては粗削りではあっても、ためらうということなく切り込んでいるのには今見ても感心してしまう。


制作の時間は良いも悪いも100%私自身の世界である。しかし、一歩、現実世界に戻ると、そこはグレーのグラデーションの世界で、部分的に嵐や竜巻が吹き荒れていたり、延々と続く乾燥した砂漠である。自分以外の人間がかかわっている現実世界では、何一つ思い通りになることはない。この世は妥協と諦めの産物ように思えてくる。それでもあきらめのつかない思いが心内でぶすぶすとくすぼって、それが積もり積もって怨嗟の念となって年の瀬を漂っている。

そんな思いが作品となって残った。制作することによって負の思いは昇華し半減していくようである。