光りながら浮遊する球体については、雷雨の時に空中を発光体が浮遊する大気電気学的な現象「Ball Lightning(球電)」であるとか、長時間にわたる連続的な落雷によって脳内に電場を誘起し幻覚を引き起こしたものだとする説などがある。

球電の多くは落雷や雷雨と同時に目撃され、数秒間~数十秒間かけて目の前を横切ったとか、静止していた、ジグザグに動いた、といった目撃例もある。形は球型や洋なし型で輪郭はぼんやりとしていて、大きさは直径10cm~20cm程度が多く、大きいもので1mほど。色は黄色や赤・オレンジ系統のものが多いが、白や青のものや、途中で色が変わる場合もあったという話である。硫黄やオゾンのような臭いがすることもあるらしい。

現在では球電といわず、球雷というらしい。


時々思い出しては、あれは一体何だったのか考えるが、未だに納得するような答えはない。NETで調べても同じような物を探すことも出来なかった。しかし、地球には人口78億人もいるなら私と同じ経験をした人もいるかもしれないと思って、私の体験談を書いておく。

まず私は今まで幻覚を見るとか、明晰夢を見るようなことは一度もなかったし、その時ははっきり目覚めていたことを断っておく。
今から20年ぐらいも前のことで、当日(春)の夜は雨もふっていなかったし、雷の音も聞こえなかった。2階の寝室のベッドに入ってまだ寝ていない時、遠くで消防車のサイレンの音が聞こえていた。部屋の中は常夜灯が付いているだけの薄暗がりの中にベッドから1メートルぐらい離れたところに赤いボールのようなものが床上70センチぐらいの高さに浮かんでいた。その赤い球がみるみる大きくなって直径1メートルほどになった。明るさはまばゆいほどではなく熱も匂いも全くなかったので、何となく手を出して触ってみようとして手を伸ばしたところ、手がすっと中に入ってしまったが、熱くもなんともなかったがちょっと不気味だったので手を引っ込めてじっと見ていたら、球体が少し移動して部屋いっぱいに広がった。動きはなめらかで音もなかった。大きさは直径3メートルほどもあった。やがて少しずつ光が弱くなって消えてしまった。その後、見たものの異様さに頭が判断できずぼーっとしていた。その間、3分から5分ぐらいであったと思う。そのあとなかなか寝付かれず、その赤い球体のことばかり思い返していた。

ただ、これだけなら、他の人々とあまり変わりはない。
私の場合これだけではなかった。あくる日も赤い球体は出現したのである。2回目は30センチから50センチぐらいまででそんなに広がることもなく部屋の中を横切って部屋の隅で消えた。その間、2~3分であった。この時間の長さも他の事例とは異なっている。

今ならスマホで写真を撮るのに十分な時間があったので残念である。NET検索も出来ず毎日会う人ごとにその体験談を話していたが、誰も半信半疑で「へえー」というぐらいの興味しか示さず、中には私の錯覚だとか疲労しているのだと忠告してくれる人もいた。私の頭が変だと思われているかもしれないと思って、あるとき以降一切この話はしなくなった。それでも何かの折につけ思い出すことはあった。赤いボールペンを持つとその赤い球体をグルグル書いていたこともある。

その赤い球体は、ぼーっとしていないで赤い細い線がグルグルと球体の軌跡を描いていて中央にはないもない。例えてみるなら、透明の球体の周りを光る赤い糸で何重にもグルグル巻きにしたような状態である。熱も匂いもなく消えた後も何の痕跡も残さなかった。この体験がその後の私の人生に影響を与えることは全く何もなかったが、球体の絵を思い出したように描くことはあった。特にライトペインティングに興味が湧いて画集まで出してしまった。

絵描きの私は、視覚記憶は人並み以上だと自負している。視覚記憶はあまり書き換えが起こらない。NETが普及している昨今、思い出したように検索しまくっているがなかなか同じ体験のものは見かけない。しかし、全く同じ状況できっと私と同じ経験をした人はどこかにいるはずで一人でぐちぐち言っているに違いない。

もう一度この赤い球体が出てきたときは必ずその画像を撮ってやると固く決心して、ベッドサイドにスマホを置いている。ただ、気になるのはスマホの電磁波が邪魔をして、赤い球体が出現しないのではないかと心配もしている。