スーパーの周りを取り囲むように植えられている常緑樹には、木から生まれるモンスター達が住んでいる。しかし、この事実を知るものはほとんどない。人間も3歳ぐらいまではこのモンスターに気づいているが、その後は次第に記憶から消え去って大人になるころにはきれいさっぱり忘れ去っている。忘却とは忘れ去ることなり。


冬の間、冬眠していたモンスター達は3月になるのを待ちきれない。


大きな欠伸をする者もいる。


木から生まれるモンスターがいることを、人間どもに気が付かれないように色々工夫しているのだ。モンスター達の擬態は芸術の域に達していると言える。


こんなモンスターにはおそらく誰も気づかないだろう。


周りの苔の色に同化して溶け込んで擬態している。


こ奴は木のモンスターの間でも伝説になってあがめられている。大木が切り倒されたときこの屋の主のおばあさんは木のモンスターに気が付いて道しるべとして残しているのだ。見るからに貫禄十分である。しかし、街の誰もこのことに気づいていない。


このモンスターは周りのモンスターから何度も注意を受けている。これではすぐに見つかってしまう。


特に注意深いこのモンスターなんかは見事に木に溶け込んでいる。注意深いモンスターからお気楽なモンスターまで、人間と一緒で色々いるんだよ。


瓶を投げられてたんこぶの出来たこのモンスターは未だに目から星が散っている。


カエルの顔をしたこのモンスターは時々木から抜け出て夜中に人を脅かして楽しんでいる。


このモンスターは木の上の方から人間を見下ろして、罵詈雑言を浴びせている。人間には木のモンスターたちの声は届かないと言うのに。


木の中から顔を出してぼやいている木のモンスター。日がな一日中ぶつくさ文句を並べて人間の愚かさを嘆いている。遂に口が破れてきたようである。


常緑樹の葉っぱの陰で、しっかりと顔をのぞかせているモンスター。きっと今年の表彰状ものかもしれない。兎兎に角、街中ののモンスター達は人間から身を隠すのが大変なようである。

木のモンスター達に気づいたのは子供の頃で、それ以来消えることはなく現在に至っている。大工さんたちは木を切り倒すのを祟りがあると言って嫌がるのもうなずける。