瓦葺の屋根が減ってを見かけることも少なくなってきた鬼瓦に思うこと。
近頃、本格的な瓦ぶきの屋根を見かけることが少なくなってきた。モダンな建物の屋根のほとんどはスレートの屋根瓦か、瓦のない陸屋根にとってかわられるようになってきた。時たま立派な鬼瓦を見かけると思わず足を止めて見入ってしまう。
家を建て替えた際に、瓦屋根でなくなってしまって以前の鬼瓦を捨てがたく玄関先や庭の飾りに使っている家も見かける。
鬼瓦の役目は、棟の末端に付ける雨仕舞いの役割を担っているが、もう一つは魔除け・厄除けを兼ねた装飾性という目的もあり、古くは飛鳥時代の寺院の遺跡に見ることができる。
瓦には、 「日本3大瓦」 とよばれる有名な粘土瓦の産地があり、 三州瓦 (愛知県三河地方)、 石州瓦 (せきしゅうがわら・島根県石見地方)、 淡路瓦 (兵庫県淡路島)の3つで、 この 3大瓦だけで全国の瓦流通量が85%を占める。
・三州瓦
全国一の生産量を誇り色もカラフルで多くのハウスメーカーに使われている。
・石州瓦
赤瓦や黒瓦が中心で、1200度の高温で焼くため硬くて塩害に強く、寒冷地域や海岸地域で人気がある。
・淡路瓦
昔ながらのいぶし瓦で灰色の銀色を特徴とし、関西圏の寺院や和風建築の屋根に使われてきた。
鬼瓦を作るのは専門の職人さんで「鬼師」と呼ばれている。鬼瓦は粘土をこねることから始め、ヘラで作り上げる大変な仕事である。大きいものになると何メートルに及ぶものもあり、大きな屋根になると、鬼瓦だけで何百万円から数千万円もするらしい。
NETショッピングで検索すると、一つの鬼瓦だけで、何十万円もするので驚いたが、その工程を考えると当たり前だということが分かる。以前この鬼瓦をもらえる機会があったのに、マンションに住んでいた為、断ったことがあり、今でも惜しくて仕方ない。
以前島根県に行ったおり、偶然に鬼瓦を趣味で作っている人に出会って見せてもらったら、「一つ持って帰るか」と言われたが、何しろ大きく重いので泣く泣く諦めたことがある。売り物ではないのでその鬼の顔がユニークで今でも思い出すと笑いがこみあげてくる。鬼瓦の役目である災害から建物を守ることができるのだろうかと思えるほどユーモラスな顔であった。(上の画像は寺院の鬼瓦である。)
塀の瓦屋根のコーナーに取り付けてあった鯉の瓦。きっと風水害から守る意味があるのだろう。
我が家は、陸屋根で瓦は一枚もない。代わりに太陽光パネルが並んでいる。風情も何もない家である。災害から家屋を守っているのは鬼瓦でなく共済会の災害保険である。
今度、鬼瓦を頂ける機会があれば絶対に貰って、猫の額ほどの中庭に飾ると固く決心している。