意のままにならない「おなら」の知識とうんちく話。匂い、量、回数は?
おならは基本的に無臭で、その成分は窒素・酸素・水素・二酸化炭素・メタンなどである。
1日に200~2000ml程度が作られ、成人のおならの平均回数は約7〜20回と言われ、人間は1日に平均10回前後のオナラをする。この溜まったガスは、血液に入って肺に運ばれ、呼気として排出されることが多いが、ゲップやおならとしても出ていく。また、排便時には糞便と一緒に腸内に溜まったガスも出るが、排便リズムが狂っているとガスが腸内に溜まってしまう。さらに便秘だと、食べ物の残りカスが腸に長時間留まるため、腸内細菌によってガスが異常に増えてしまい悪循環を起こす。
●息がうんこ臭いのはなぜか。
口腔内細菌が作るガスの主要成分は揮発性硫黄化合物(硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイド)であるが、検出量は少ないものの揮発性窒素化合物も作られている。 これら合計で10種類以上の揮発性ガスが口臭の原因となっています。 その中で、うんちの臭いがするものは揮発性窒素化合物の中のインドールとスカトールである。
息がうんこ臭いのは、おならが逆流して口から出てきたのではない。
●癌の匂いってどんな匂いなのか。
炎症ができた部位で免疫機構が働き、細菌類と戦いを終えた免疫細胞は代謝産物を残す。 これが特有の臭気を発する。 たくあんのような発酵したもののにおいが感じられたら、乳がんの危険性が高く、 タマネギが腐ったにおいのときは大腸がん、そして肉が腐ったにおいなら呼吸器系のがんがあると考えられる。体臭もおならと間違えられることがある。
●年を取るとおならがよく出るのはなぜか。
加齢によって胃腸の機能が衰え、食べ物の消化も 遅くなっていき、胃や腸に長く留まる様になるため ガスも発生しやすくなる。 また、加齢により腸内 の善玉菌が減少し、悪玉菌が増加すると考えられている。
ガスしか出ない便秘の主な原因は、腸運動の低下、食生活の乱れ、ストレスなどである。
ほかに考えられる原因としては、大腸の疾患が挙げられます。大腸の疾患によって腸管に狭窄が生じることで、便秘や下痢のほかに、弱い音のおならが頻繁に出ることがある。又、血便が出たり、便が細くなったりすることがあるため、おならが出る以外にも気になる症状がある場合は医療機関を受診。
【おならの出やすい食べ物等】
・食べ物の種類によってガスが溜まりやすくなってしまい、おならが出やすくなるような食品もある。
一般的に、食物繊維の多い食材は腸で消化されることが多く、(食物繊維の多い食材は、豆類・いも類・キャベツ・ねぎ・きゅうり等)
・食物繊維は、緑黄色野菜や根菜、イモ類、海藻、玄米など、多様な食品から摂取できるが、ものによってはかえってガスが生じるなど、腸内環境を整える上で人それぞれ相性があるという。色々な食物繊維を試して、お通じやガスの調子を見ながら、自分に相性の良いものを判断すると良い。
・動物性食品は、悪玉菌を増やしてしまい臭いのあるガスを発生させやすくなるため、焼肉などを食べたあとは臭いオナラをする人が多いのである。特に、脂肪分が置い食材や肉類は消化するのに時間がかかりやすく、腸でバクテリアの発酵が頻繁に起きて、このような食品を食べた日は、通常時に比べておならが出やすい。
・炭酸を多く含む飲料水を飲んだ時もおならが発生しやすくなる。炭酸が体内に取り込まれると、二酸化炭素と水に分解されるため、空気と混じりやすくなる可能性が高くなり、ガスの発生する機会も多くなるためにおならが増えるといわれている。
・禁煙
禁煙し始めた人はおならがでやすくなるのは、喫煙している時に比べて腸内環境が変化してしまうことが原因に挙げられる。一度タバコを吸っていた人が禁煙を始めると、腸内にプロテオバクテリアとバクテロイデスという細菌が増え、腸に入ってきた食材を分解しすぎてしまい腸の中にカスが残っている時間が長くなってしまう。その結果、禁煙している時にでるおならはニオイもきつくなることが多い。
・ストレス
ストレスを抱え込みすぎると、自律神経のバランスが乱れて副交感神経が上手く働かなくなり胃腸の働きが低下する。
そのため食物が入ってきても消化が上手くできなくなり、ガスが溜まりやすい状態になり、さらにおならが出やすい状態になっているにも関わらず、人前で我慢せざるを得ない環境がストレスになってしまい、さらにおならが出やすくなるといった悪循環に陥る。
・噛む回数が少ない
食事をする際に噛む回数が少なく、早食いの人はおならがでやすいと言われる。
よく噛む人は唾液が多く分泌され、余分な空気を吸い込まずに飲み込むことができるが、それに比べて噛む回数が少なく早食いの人は、余分な空気を体内に取り込んでしまう傾向が高く、ガスの発生率を高めてしまう。また噛む回数が少ないと、胃に負担がかかってしまい食べ物が腸に残りやすく、腐敗が起きて、臭いオナラが出やすくなる。
・睡眠不足
寝不足が続くとおならがでやすくなる。
睡眠をしないと、自律神経のバランスが乱れやすくなる事により腸が正常に働かなくなるので、消化が正しくできずにガスが発生しやすくなり、おならがでやすい状態になる。
また疲労の蓄積も、腸の働きが低下する原因になる。
・呑気症
唾液と一緒に空気を飲み込んでしまう量が多くなる病気で、空気を飲み込む量が増えるために、オナラやゲップの回数が増えるという症状が現れる。
精神状態が不安定な時に症状が現れることが多いが、原因がはっきりとわかっていないため、治療法が明確にはないのが現状である。
・クローン病
腸などの消化器官に炎症が起きる病気で、下痢や嘔吐感などが症状として現れ、発熱などを伴う時もある。難病で、日本には2万人もの患者がいるが、詳しい原因はわかっていない。
【おならは何からできている?】
おならの成分で最も多いのは、空気中に含まれる窒素。これに、酸素、二酸化炭素、水素、硫化水素などが加わる。私たちが吸った空気は気管を通って肺に行くが、飲み食いを通じて胃にも空気が入り込む。「例えば水を10cc飲むと、胃に約18ccもの空気が入る」(大毛氏)という。その一部はゲップとして口から出るが、余ったものは腸に移行して、おならとして排出される。
【硫化水素】
おならの悪臭の最大の原因である硫化水素は、おならを我慢しても、その濃度が下がるわけではない。我慢しても“におい”は抑えられない。
硫化水素は大腸の腸内細菌によって作られる。食物繊維を餌にして、短鎖脂肪酸という大腸にとって必要な物質を作る過程で発生する。その臭いは“卵が腐ったような”とよく形容される。おならの成分の99%は無臭性のガスで、硫化水素など、臭い成分は残りの1%に過ぎない。臭いのきついおならの場合は、40~50ppmの硫化水素が含まれるそうだ。
化学式は H₂S、 水溶性の無色の気体で腐卵臭を持つ。
硫化水素は青酸化合物とほぼ同じ毒性を持つ有毒ガス。1000ppmの濃度で即死すると言われるが、腸の状態が悪いときは大腸に2000ppmも存在することがあるという。そんな化学兵器のような有毒ガスなら、一刻も早く排出したいと誰しもが思う。
しかし、生死を左右するほどの大事には至らないようだ。腸から全身に回ってしまったら死んでしまうが、大腸の腸壁の粘膜には硫化水素を解毒する酵素が備わっているし、腸管から多少吸収されたとしても肝臓で解毒されるため、硫化水素が全身を回ることはないのでそれほど神経質になる必要はない。
【おならを我慢すると】
窒素は体内で利用されることがなく、腸管からも吸収されないため、腸の中に滞留することになる。一方で、酸素は腸内の細菌によって消費されたりして腸管内で消えていく。
二酸化炭素は、胃の消化液である胃酸が十二指腸ではたらく消化液の膵液で中和された結果、大量に発生する。大腸でも作られるが、すぐに吸収されて消えてしまう。水素は大腸で腸内細菌の働きによって発生するが、これも腸管で吸収される。
おならを我慢すると、大腸の腸管の粘膜にある酵素がごく微量の硫化水素を分解するが、その一方で新たな硫化水素が生成されるため、硫化水素の濃度が下がることはない。即ち、いったん出すのを我慢しても、その後で出すおならの臭いを抑えることはできない。
一部の人は直腸の腸内細菌によってメタンガス(無臭)が発生するが、日本人ではほとんどいない。
余談ではあるが、デンマークの病院で、1978年に手術中に患者の腸内にたまったガスに電気メスの熱で引火、爆発するという事故があった。
まとめると、おならの成分には、排出を我慢することで腸内に残るものと、腸管を通じて体内に吸収されるものがある。腸管で吸収されないのは窒素。硫化水素はごく微量しか吸収されない。おならをいったん我慢しても、次第に我慢が難しくなり、かえって大きなおならになってしまう。又、おならを我慢すると便秘の原因になり悪循環を起こす。
参考までに、
【おならを我慢して憩室炎に】
「おならを我慢していると腸が張って動きが悪くなり、便が停滞することで、ますますガスがたまるという悪循環になる。食物繊維の摂取が不足して便秘がちな人は、大腸の壁が外側に向かって袋状に飛び出す「大腸憩室」ができやすい。ガスで腸が拡張した際に、腸壁の弱いところが膨らむのではないかと考えられている。大腸憩室が炎症を起こすと、穴が開いて腹膜炎になることもある。おならの我慢は禁物。
【結論】
おならを我慢することは百害あって一利なしである。