息子は「近頃、駅前の安い散髪屋さんに女性まで押しかけてきて お店の前に長蛇の列ができていていやだから、自分で散髪する。」と言い出した。「電動バリカンを買っておいて」と言うので、ネットであれこれ見て回った結果、Panasonic「 家庭用散髪器具カットモード ER-GF81」を買った。しかし、息子は忙しくそのバリカンはほったらかしであった。それが急に遅い時間に思い立ったように今から風呂に入るから髪をばっつんする。」と言い出してアタフタ支度をしたが、よく説明書も読まないでカットしだした。兎に角、下の息子は気が短い。


箱から取り出すとなんとビニールの黒いケースに入っている。


その中にはいろんなものが入っていて何をどのように使うのか戸惑うばかり。息子は、もっと簡単に出来ると思っていたのイライラしだす。


「耳周りも安心してカットできると書いてある」と息子は言う。「台所のシンクですればネットで切った髪の毛を受けることができる。」というや否やコードをつないで切り始めたがそううまくはいかない。


私が「少し長いところを切ってあげるから。」と言って切り始めたが、下ばかり向いていて「腰が痛い」と言って急に「風呂でやる」と言い出した。


「色んなアタッチメントをうまく使いこなさないと」と言ったら、息子は「もう面倒だから坊主にする」と言い出すので止めるのに大変であった。


バリカンの刃に髪の毛が詰まって大変。それを水で流して何度も掃除しなければならないほど髪が伸びていたから、余計に大変である。


このバリカンによるカットを一人でやるというのはまず大変である。右利きの人は左手が使えないし、鏡に映っているのは鏡像であるから錯覚が起こる。その度に文句を言って怒る。風呂場は髪の毛が散乱。

私が止めるのも聞かず、不器用に無茶苦茶カットする。後ろが斜めになっているというと剃刀で下の方をそり始めたが、もっとひどい状態になってしまった。

「もうこれでいい。」と言って風呂から出てきた息子のヘアスタイルを見て絶句してしまった。河童のようであるが頭のてっぺんにお皿が付いてないので、むしろエリンギのような状態である。「明日会社に行ったら、みんなに笑われるよ。」と言うと、「お前もタダでカットしてやると言う。」と言って平気な顔をしている。これならいっそ坊主の方がましな気がした。


ヘアスタイルの絵を描いてみたが、実際はこんなものではない。もっともっとひどい状態で左右が全く違っていて目も当てられない。

ところが若いので3日も経つと、剃ったところが黒くなり始めた。会社のみんなは誰も息子に声もかけなかったらしい。その気持ちよく分かる。言葉も出ないのである。パナソニックのバリカン担当者が見たら一体何というのであろうか。

端的に言うならば、「坊主頭にカツラを斜めに被ったようなヘアスタイル」と言うべきか。