台所の器具を整理していたら、奥の隅っこからいつ買ったか忘れたほど昔の新品の「ササラ」が出てきた。ササラという楽器もあるが、これは台所用品である。
ささらを漢字で書くと竹冠に彫刻の「彫」で、「簓」という字である。


ささらは、竹や木を繊維方向に細く裂いたものを束ねて持ち手をくくった洗浄器具で食器やお鍋などを洗う道具である。
私のササラは竹製で先端方向から見ると丈の細く裂かれたものが束ねられているのがよく分かる。
使い始めは、竹の繊維が硬くて使いにくいが、使っているうちに竹の繊維がもっと細く裂けてしなってきて使いやすくなる。


反対側の持ち手の側から見るとこうなっていて、竹の節をうまく使って束ねられている。


銅線が巻かれている方が持ち手である。
フライパンやお鍋などを洗うのに適している。このササラを使うと油ものでも洗剤をあまり使わなくていいので地球にやさしい道具である。


フライパンの裏は少し洗剤を付けてごしごし洗う。ササラにこってりした油が付いた場合は棕櫚のたわしでこすればきれいに落ちる。
中華料理店では、今でもこのササラを使っているのを見かける。

天然繊維で作られたササラとたわしは、プラスティックで作られたブラシやスポンジ類よりはるかに優れている。油まみれのスポンジやブラシほど始末に困るものはない。天然繊維の微細構造が、プラスティックの繊維とは違っているからなのであろう。その理由をはっきりと研究した論文を見かけないのが残念である。

茶筅の古くなったものをササラの代わりに使っていたこともある。