石見の国・神楽舞「ベイクドショコラ」は大人の味わい。犬王の舞台にぴったり。
島根県は古来、東部の出雲の国と西部の石見の国に大きく分けられる。石見の国は政権から逸れた島根県西部地方である。
石見神楽は、島根県西部の石見(いわみ)地方に古くから伝わる伝統芸能で、日本神話を題材に、独特の哀愁あふれる笛の音、活気溢れる太鼓囃子に合わせて、金糸銀糸を織り込んだ豪華絢爛な衣裳と表情豊かな面を身につけて舞うものである。石見神楽の演目には「儀式舞」と呼ばれる神様へ祈りを捧げる舞いと、「能舞」と呼ばれる豪華な衣裳や面を付けた神や鬼が神話に沿ったストーリーを舞うものと2種類がある。
また、石見神楽舞の面として江戸時代末期より作られているが、神楽が神職を中心に舞われていた江戸時代には木彫りの面が使用されていたが、長浜人形師が始祖となって現在の和紙の面となった。
「犬王」の小説を読んでアニメを見たが、近江や京の猿楽から続く能楽よりは、地方に古くから受け継がれてきた神楽舞の方がその柔軟さやエネルギーの高さ、音楽のテンポなど多くの点でその犬王の舞台に惣しく思えてならない。
政権から離れた場所であるからこそ、民衆の自由な表現が花開いたのではないだろうか。特に、神楽舞の面は、能の洗練された面とは違ってすべてがダイレクトで荒々しい。中央政権に庇護された芸能と地方の民衆芸能との違いは比較するものではなく、あり方の違いなのであろうが、犬王の存在をそのまま受け入れる舞台は、中央政権から離れた地方の民衆の中から発達進化し続けてきた神楽舞こそその情熱を十二分に発揮できる場ではなかったか。
その石見のお土産にもらったベイクドショコラは、石見の神楽舞の進化し続ける生命力の強さの味がした。
「石見の国神楽舞 ベイクドショコラ」 少し硬めのサクサクした食感の焼きショコラである。チョコにでん粉や砂糖やマーガリンを低温で焼き上げ固めたお菓子で、クッキーとチョコレートの両方の美味しさを兼ね備えた味わいと食感のおかしである。
12個入って600円である。
緑茶によく合う焼きチョコである。ほろ苦さの余韻がいい。
子袋の模様は、石見の神楽舞でスサノオノミコトが八岐大蛇を退治する演目「大蛇(おろち)」の一場面である。