子どもを産んで以来、痔になってしまったが、それがある時以来だんだんひどくなってきた。その時期とウオッシュレットをトイレに設置した時期とが重なっていたことに最近ようやくわかってきた。

痔になったら、お尻を清潔に保つために何はなくとも温水洗浄便座とシャワーで奇麗に洗わなくてはならないと信じている人が多い。しかし、『痛み・かゆみ・便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(著者:佐々木みのり/あさ出版)を読めば、肛門トラブルの原因の大部分が温水便座であるという事実が分かる。

日本人の3人に1人は痔であると言われている。しかし、温水便座で洗うとかえって痔が悪化するということである。

「洗っている人ほどオシリが汚い」という事実。排便後、しっかり洗っているのにもかかわらず肛門周囲に便がついていたり、オシリに紙がくっついていることも少なくないのである。このオシリについた紙が刺激になって、かゆみを引き起こしたりもする。

肛門周りの皮膚は薄く、刺激を与えると簡単にダメージを受けてしまう。シャワーの強い水圧や、こすり洗いでもかなりの刺激を受けることになり、石鹸や消毒なども強い刺激になるという。

オシリの洗いすぎを続けると、皮膚バリア機能を担っている「皮脂膜」がなくなり、皮膚に炎症が生じる。そして、皮脂膜がなくなるとかゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて増殖してくる結果、洗いすぎるとかゆくなるのである。痒くなったり痛くなったりすると更にウオッシュレットで洗うという悪循環を引き起こし、気が付いた時にはかなりの肛門トラブルを抱えてしまうのである。

痔の患者の9割以上が、毎日お通じのある人。週に1回しか便が出ていない人には、まったく痔がないのである
痔になっている人は、出口(肛門)に便が停滞しているが、週に1回しか便が出ない人はお腹(腸)に便が停滞していて、便が出口まで下りてきていないから肛門は空っぽで、オシリに負担がかからず痔になっていないのである。
正しく排便すれば、紙に便はつかず、洗わなくてもおしりはキレイというのが普通で正常なのである。洗わないといけないような排便は、正常ではないと言える。

ではどうすればよいのか。
オシリに不調を感じるときは、まず2週間、洗うのをやめてみる。温水洗浄便座での洗浄を控え、お風呂でも肛門にシャワーを直接あてたり、石鹸やボディソープで肛門近くを直接洗ったり、ボディスポンジやボディブラシでゴシゴシしたりするのもやめる。2週間ほどすると、皮膚が再生し炎症も止まる。

その後、お風呂に入る時は、手のひらで石鹸やボディソープを泡立て、オシリにやさしくつけるだけで肛門にはつけない。決してボディスポンジなどでこすったりせず、手でなでるくらいにする。
お尻のトラブルが収まれば、温水洗浄便座を使ってもいいが、水圧はいちばん弱く、水温はいちばん低く、洗浄時間は3秒以内という点を守る。

排便後のおしりふきは3回以内にとどめる。それ以上しないと汚れが落ちなくて気になる時は盥の生ぬるい温水を入れお尻をそっとなでるようにすすぎ後は水分をそっと押しながらとる。

要するに、肛門部は伸び縮みする部分であるので皮膚が薄くデリケートなのである。この個所のケアは考える限り優しく負担の少ないように扱わなければならないという事である。

外側はこれでいいとして内側の注意は便秘にならないこと。そのためには直腸まで届く乳酸菌の入ったヨーグルトを選び、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を1対2でとる事。それでも快便が望めない時は、ビオフェルミンや酸化マグネシウムを食後に飲むとよい。

お尻ケアを怠ると万病のもとになる。間違ったお尻ケアはもっと恐ろしい。こんな事は学校で教えるべきじゃないのかなあ。予防医学がもっと徹底すれば保険料ももう少し安くなるのではないか。