初めて食べる「亀の手」・見た目にたじろぎながら料理する。
「亀の手」などというものを見たこともなかったので、まずこの生命体について調べることから始める。
(土曜日に食べたが、寝不足で当日ブログにする気力が出なかった。)
・分類:動物界 – 節足動物門 – 甲殻亜門 – 顎脚綱 – 鞘甲亜綱 – 蔓脚下綱 – 完胸上目 – Scalpelliformes(ミョウガガイ)目 – ミョウガガイ科 – Capitulum(カメノテ)属
貝よりもエビやカニの仲間(甲殻類)に近い生き物。外の固い殻はそのままで、中の体はエビ等と同じで脱皮する。
ヨーロッパでもカメノテの近縁種がイベリア北西部で獲れスペインやポルトガルではペルセベ(Percebe)と呼ばれ、高級食材として扱われている。
・岩の隙間にビッシリと生息していて、干潮は海から出ていることが多いが、満潮の時は海中に沈み、先から羽のような形の足が出て来てプランクトン)を食す。カメノテは北海道南西部辺りから南の日本全国の沿岸、更に東シナ海に面した沿岸部からマレー半島辺りまで分布し、潮間帯にある岩礁の割れ目や窪みなどに固着し群生している。動物ではあるが、エビやカニのように行動するわけではなく固着した岩で一生を終える。
・カメノテはほぼ全国の沿岸で採取することができる。各地で食用となっているが、流通に乗るようになったのは近年のこと。
日本だけではなく東南アジアなどでも食用になっており、特にスペインでよく食べられている。
商業的に水産物として扱っているところは少なく、流通量も限られているが、香川県をはじめとする四国や九州から出荷されている。
美味しい旬の時期は5月頃から8月にかけてで、高級食材としての扱いである。
この得体のしれない生き物を見れば見るほど、食欲が失せる。半ば後悔しつつ料理する。
味噌汁に入れたり潮汁にしたりするのが普通の食べ方であるが、アサリ蒸しのようにしても食べられる。
今回は酒蒸しにすることにした。料理酒を使えば塩を加える必要はなく、日本酒だけなら塩を一つまみ入れて溶かしたものを用意する。
酒蒸しにするので、3分ぐらいの過熱でもよいが、アサリの場合なら貝が開くので直ぐ見分けがつくが、この亀の手の場合、見た目が変わらないので加熱しすぎるので注意すること。
茹で上がり。この煮汁は美味しいので絶対に捨てないように。
殻をむく練習。
黒い部分を引っ張ってとってから 硬い殻の部分に切れ込みを手で付けてくるッとむしり取る。
1~2個練習すればすぐコツがわかる。
こうして全部の身をとるとたったこれだけである。高級食材と言われるゆえんである。
食べてみると貝とよく似ているが特に美味というほどでもない。ちょっと磯臭いかな。それよりも、残り汁が美味しい。
残り汁に千切り大根を漬けて食べると美味しい。
結論として、この亀の手は、味噌汁や潮汁にした方が絶対おいしいということである。
亀の手の身の部分の接写画像である。お酒の当てにはいいかもしれない。