この龍の絵を見た時はショックのあまり言葉を失った。どんな龍とも違って今までの龍の概念をはるかに超越したものがある。一体どこの誰が描いたのか興味津々。


覚えるほど何回も見ていると様々な妄想が湧いてくる。この龍はきっと脱皮しているところなのではないかと。


作者を探そうと、署名のところを見ると、これが又こんなのは見たことがない。

「筆使 康」と書かれその下に雲龍という1文字が書かれていて落款がある。

「筆使」とは何かと調べてみたら、コトバンクには次のように出ている。

ふで‐づかい ‥づかひ【筆使・筆遣】

〘名〙 筆を使って文字や絵などを書くこと。また、その方法。書かれた文字、絵画などの趣もいう。筆付(ふでつき)。筆様(ふでよう)

次に、「筆使 康」で調べてみる。


出てきたのが次の作家である。
「DesignStudio一筆 宮城県の墨絵師です 米粒に文字を書くほど繊細な線 0.1㎜の線をコントロールしてます #墨絵 #墨絵師康」

私が想像していたような作家とはかけ離れていて、又しても絶句。
私が想像していたのは、すでに物故作家になられているのではないかと思っていたのであるが、なんと私より若い男性で、プリントTシャツなんかを売っている男性であった。

そうなんだ、あのような龍を買う人は少ないのか。あの龍では食べていけないのだと悟った。作品の中で、あの龍だけが秀逸である。他はすべてありきたりの作品ではあるが、一般の人々には何が描かれているか理解できるような絵である。私にも覚えがある。売り絵とはは総じてそのようなものである。

それでもあの龍なら、人に感動を与えることができるし、作家にとっても昇り龍となるはずである。これからもあの龍を描き続けてほしい。