世界の十二支事情・ベトナムでは今年(2023年)は猫年。
もともと古代中国で始まった十二支は、十二年で天を一周する木星の軌道上の位置(天の位置)を示すためのもので、十二支は「年」を数える数詞だったのである。やがては「月」や「時」を数える数詞などにも用いられていくようになった。
その後、十二支は、中国の王充(おういつ)という人が、民衆に十二支を浸透させるため、抽象的な数詞を覚えやすく馴染み易い動物に替えて文献を書いたことに始まる。数詞に十二種類の動物が当てはめられているので、「十二支(じゅうにし)」と呼ばれるようになった。日本には3~4世紀頃に伝わったといわれている。
また殷代では、「日(太陽の巡り)」を数えるための数詞には十干(じっかん)というものがあった。
【十干 】甲(コウ)、乙(オツ)、丙(ヘイ)、丁(テイ)、戊(ボ)、己(キ)、庚(コウ)、辛(シン)、壬(ジン)、癸(キ)
この十干と十二支を組み合わせた「十干十二支」を、一般に干支(えと)と呼んでいるのである。
干支のある国は、日本・中国・台湾・韓国・チベット・タイ・ベトナム・ロシア・モンゴル・インド・トルコ・ベラルーシ・アラビア・イラン・ブルガリアなどの国。干支はシルクロードを伝わって中国から西の方にも伝わった。
世界には猫が十二支に入っている国もあり、例えば、チベット・タイ・ベトナム・ベラルーシ・ブルガリアなどが代表的なくにである。
猫以外にも、豚、山羊、豹、魚、象、ライオンなども干支の中に入っている国もある。
インドの干支に登場するガルーダとは、空想上の生き物で、炎のように輝く神鳥のこと。
トルコの干支にはヒョウやブタがいたり、竜が魚に変わっていたりなど独自の変化が見受けらる。さらに国によっては、ゾウやライオンなど日本とはかなり違った干支もある。
これらの干支の変化は、チンギス・ハンが1206年に創設した遊牧国家「モンゴル帝国」 の影響が大きかったとも言われている。モンゴル帝国は、西は東ヨーロッパ、アナトリア(現在のトルコ)、シリア、南はアフガニスタン、チベット、ミャンマー、東は日本、朝鮮半島まで、ユーラシア大陸を横断する帝国であり、そのモンゴルの侵攻と共にに中国の干支も世界中に広がっていったものと思われる。
十二支の考え方のルーツは中国で、中国では、すべての物事は「陰」と「陽」に分かれると考えられていた。またそれぞれ「木・火・土・金・水」の5種類、それぞれに陰と陽があるので計10種類の思想があり、これらの説を「十干」と呼ぶようになった。日本に伝承した際には、陰と陽をそれぞれ兄(え)と弟(と)に分けて考えられるようになり「干支」の呼び方のルーツになったといわれている。十二支は12ヵ月の順番を表す呼び名で、十干と組み合わせて60通りある。私たちが干支として親しんでいる12種類の動物は、60通りのうちの基本となる種類なのである。
五黄の虎 (2022年・ 36年に一度・干支と九星術の組み合わせの中でも最も運気が強いとされている。)や
丙午(ひのえうま・ 干支の組み合わせの43番目 ・次は2026年)も、干支(かんし)の一例である。
【世界の十二支・・・・・・・十二支の動物】
中国の干支 :鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪(豚)
日本の干支 : 鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪
ロシアの干支 :鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊(山羊)、猿、鶏、犬、猪
台湾の干支 :鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪
韓国の干支 :鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪
モンゴルの干支 :鼠、牛、豹、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪
干支に猫年のある国では、今年2023年は、まさに猫年であり、国中に猫が飾られているらしい。
【猫年のある国】
チベットの干支 : 鼠、牛、虎、猫、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、豚
タイの干支 :鼠、牛、虎、猫、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、豚
ベトナムの干支 : 鼠、水牛、虎、猫、龍、蛇、馬、山羊、猿、鶏、犬、豚
ベラルーシの干支 :鼠、牛、虎、猫、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、豚
しかし、我が国日本では猫年はなく今年はうさぎ年である。猫はふて腐れてフテ寝をかこっている。
干支を英語で書くと次のようになる 。
英語:rat/ox/tiger/rabbit(hare)/dragon/snake(serpent)/horse/sheep(goat)/monkey/cock(rooster)/dog/pig
干支はインターネットの波の乗って更に世界中に広がっていってほしい。そして、干支が国境も宗教の壁も乗り越えて世界の人々を平和の輪でつなげてくれることを祈っている。