石川は、純金箔を買ったり、工芸館を見学に行ったりで、3回ほど行ったことがある。能登半島の瓦の町並みは風情があって見とれていたものである。それが地震で無残にも瓦解してしまって見る影もなくなってしまった。

その原因は何か知りたくてNET検索をして回った。

現在(平成24年12月)は全国24箇所で、いぶし瓦や釉薬瓦が生産されていますが、中でも愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦、兵庫県の淡路瓦は日本三大産地といわれ、三地域の生産シェアは80%以上だという事である。

積雪に強く滑らないといわれるのは、紅柄(べんがら)を主成分とした生釉のドブづけと特殊な焼成方法でつくられる、福井県の『越前瓦』。風が強い愛知県豊橋周辺で古くからつくられるのは、切り込みが深く重なりが多い『東三河瓦』。平安遷都とともに始まったという『京瓦』は、生地の細かさや磨きなど、その美しさで社寺向けに発展してきた。


「能登には、黒瓦の屋根と下見板張りの伝統的な住居が多く、統一感のある景観と独特の風情を生み出している。黒瓦は、「能登瓦」とも呼ばれ、材料に能登の水田の土を使い、山の薪を燃料にして、七尾市や珠洲市などの農村地帯で生産されてきた。黒あるいは銀黒の美しい釉薬で覆われた能登瓦は、耐寒性に優れるといわれている 。輪島市の黒島(旧門前町)や鵜入などは、能登瓦の民家がまとまって見られる集落の代表である。」

「能登瓦」は、「能登半島で多量に生産されていた耐寒釉薬瓦。窯元数は昭和30~40年代が最多。トンネル窯化で昭和50年代初頭に最多生産量になったが、以降は減少。北陸特有の気候風土に根づいた大判の和型49形で、釉薬(黒・銀黒)のドブづけ。施工は銅線緊結工法。厚みがあって風、雪に強く、流れの長い屋根にはよく使われる。」(大和製瓦株式会社)
能登の瓦が黒く光っているのは、瓦に釉薬がかけられている為で、『能登瓦』は、裏面にも釉薬をかける「ドブづけ」という手法で焼かれた、風や雪に強い釉薬瓦である。黒光りする能登の屋根瓦は、北陸の厳しい気候風土に対応したもので、北陸の水分が多く含まれた重い雪には、強い瓦が必要な為である。


日本は瓦の国である。それは、日本が火山国であり、地震や火山活動が頻繁に起こるからである。 このため、建築物は耐火性と地震に強い構造が求められてきた。 瓦は、その堅牢な特性から、火災に対する耐性が高く、軽量で地震にも耐えることができる理想的な建材であった。
全国陶器瓦工業組合連合会によれば、2001年策定の工法で施工されていれば、瓦屋根は震度7クラスの大地震でも安全であることが検証されている。 実際に、2014年の熊本大震災ではスレートや金属屋根であっても倒壊している、瓦屋根であっても倒壊していない家がある、というのが現実である。
日本家屋に多い瓦屋根を地震対策でリフォームする場合は、「スレート屋根」や瓦屋根の約10分の1の重さとされる「ガルバリウム鋼板」などの屋根材が適しているということであるが、 耐久性の高い瓦屋根が地震に弱いと言われる大きな理由は屋根の重さではなく、建物そのものに起因されている。

瓦屋根のメリット・デメリットは、
①耐用年数が長い
②防水性・遮熱性・遮音性が高い
③初期費用が高い
④地震や強風に弱い

軽量な屋根は耐震性に優れているが、 瓦屋根のような重い屋根の建物は、地震の力を強く受けて倒壊のリスクが高くなる。 屋根はできるだけ軽くした方が地震に対して有利ではある。


「地震の強さ」と「構造」は、あまり関係はない。 木造の特徴は、非木造と比べて地震による建物の揺れが少ない点である。 その理由は、木造は鉄筋やコンクリートに比べて軽いからで、 地震の揺れは建物の重量に比例するため、木造建物は地震時の揺れがもっとも小さい。

2000年の建築基準改正内容は、1995年1月に発生した阪神淡路大震災に基づいており、以下に関する規定が厳格化された。

①地盤調査の規定
②地耐力に応じた基礎構造の設計
③耐震壁の配置バランス
④筋かい金物使用や柱頭柱脚接合金物使用


・耐震基準が制定された後の新築住宅なら、損傷はするものの倒壊は免れる構造である

・「耐震」とは、建物自体を頑丈にして地震に耐えるという技術で、強度の高い材料をたくさん使う、壁・柱・梁などを一体化するといったアプローチである。

・「制震」とは、地震の揺れを吸収して建物を守るという技術で、地震が来ると建物だけではなく、床や壁に組み込まれた制震装置も一緒に変形するので、結果として揺れのエネルギーを受け流すことができる。

・「免震」とは、地震の揺れが伝わらないようにして建物を守るという技術で、建物と地面の間にダンパーや支承といった免震装置を入れて、建物を地面から切り離す。主に高層ビルや大型マンションなど大規模な建築物を建てる際に採用されることが多い方法である。しかし、地盤の制約を受けやすい、台風で揺れやすいといったデメリットがある。


地震に強い家を考える。

①「壁」の強さとバランス
壁に筋交いや構造用合板を入れて補強する。
こうして出来た地震に抵抗できる壁が、耐力壁である。

②「接合部」は金物で補強し、引き抜け防止。
実際に阪神淡路大震災でも、柱が基礎から抜けて倒壊する家が多かった。
接合部が釘止め程度で済まされている箇所は、金具で固定する

③「基礎」が家を支える!
耐震性の低い基礎は、鉄筋コンクリート基礎を増設して強度を高める。
注意すべきは家によって基礎の形式が異なり、それによって効果的な補強方法も異なるということである。

④「屋根材」選び。
屋根の耐震補強で重要なのは、屋根材をより軽いものに葺き替えること。
瓦屋根には断熱性や耐久性、遮音性などに優れるという特性があり、
近頃では、他の軽い屋根材(スレートやガルバリウム鋼板)にも引けをとらないほど軽量なタイプの瓦も出てきている。

以上のように考えてくると。瓦屋根は日本の風土に合った良い建築材料であるが、その良さを保持するためには、それぞれの地盤に合った基礎と建築強度が必要になるという事である。建物をリホームする際には、安易に柱を抜いたり壁をとったりしてはいけないのである。反対に、その際には、建物の構造計算をやり直して更に強度を補強するように心がけるべきであるが、専門家の建築業者が安い見積もりをして発注を受けようとするために手抜き工事がなされる場合が多い。

日本的な伝統建築を維持するためには、経済的な負担が問題となってくる。美しい日本の伝統建築を守るためには、国や自治体がもっと積極的に補助するべきではないか。