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昔々、私がまだ子供だった頃のお扇子が、見つかった。これは小学校の頃、父に買ってもらった。盆踊りの時に浴衣の帯に指していたこの扇子を落として、必死になって探したので、よく覚えている。どうしてこの扇子が今まで生き延びたのか謎である。

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この扇子は、高校1年生の時、デパートでやはり父に買ってもらった。両端がボロボロになっているのは、私が映画館でお化け映画が怖くて思わず噛んででしまった痕である。もみじの部分が箔押しになっている。扇骨にもレース模様が入っている。

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左のほうが右側の扇子よりもはるかに高価であったと思う。しかし、親骨の加工をよく見ると、右側のほうが、丸く滑らかであり丁寧な仕上がりになっているのが分かる。年を追うごとに、扇子は粗悪になってきている。

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この差は、扇子の需要と供給が大いに関係している。エアコンの普及と、生活様式の欧風化が一番の原因かな。着物に必需品のお扇子売り場は、年々その場所を狭めていった。私がこのお扇子を買ってもらった頃には、初夏になると、デパートの1階の正面には、色とりどりのお扇子が並んだものである。今では、着物売り場の片隅のワゴンの中に、置いてあるだけになった。