今年2019年・平成最後の書き初めは一筆蛇技法による「エイリアン」いろいろ。
「書き初め」は新年になって初めて毛筆で字や絵を書くことで「筆始め」とも言われている。
普通は文字を書くのが多いが、何しろ絵かきの私は文字より絵を描くほうが良い。今年はもっと筆と墨を使った作品を作ってみたかったので、筆慣らしをすることにした。
一筆蛇の技法は日本独自の技法で、今ではわずか栃木県日光の参道にある一筆龍にその技術を見ることが出来る。
もともと一筆蛇は、雪国の投棄の出稼ぎの一種であった。筆と紙と筆を背中に担いで「一筆蛇はいかがですか」と各家をまわり、即興でその家の名前を一筆蛇の技法で書くのである。
蛇は生命力が強いので、家が末永く続くようにという縁起をかついで一筆蛇が書かれたのである。
今でも地方の家に行くとこの一筆蛇が掛け軸になって残っていることがある。
随分以前に、奈良県の今井町のガレージセールで額に入った一筆蛇を見つけて買ったことがある。
KEISUI ART STUDIO | 昔の一筆蛇を手に入れた。
一筆蛇のコツは紙である。ツルツルの紙に墨で書くと蛇のウロコ状のマチエールが出来るのである。筆も硬めのものが良いし、墨も粒子の細かいものが良い。
絵心があれば練習次第でいくらでも上達する。
筆をぐるぐる回すと筆先がねじれてくる。日光の一筆龍の動画見ていて、筆を回すのではなく紙を回すのだと気が付いたので、今度はその練習をしてみようと思っていたがついに年明けになってしまった。それで書き初め代わりに一筆蛇のぐるぐる回しをやってみることにした。
思い通りにうまくいくことがわかったので、蛇を書こうかなと思ったがヘビはとっと苦手なのでエイリアンを描くことにした。
目は、予め作ってあった猫の目を使うことにした。
遺伝子のぐるぐる巻きのようなエイリアンである。
遺伝子をいじくり回していたら、そのうちこんなモンスターが地球上でも出来てしまうかもと思いつつ描く。
私的にはこの子が気に入っている。
モンスターと言うか、エイリアンと言うかキモカワとはこのことか。
この練習をやっていて、十二支すべてをこの技法で描けるのではないかと思ってきた。
これなんかもう少しどうにかすれば牛のなるような気がする。
デジカメで撮って改めて見ると、距離をおいてみることが出来る。
来年はねずみ年である。毎年その年の干支を描いて恵方の方を向けて飾っている。
今から練習すれば良いかもね。
これなんかゴキブリの変種。
こんな目で見つめられたら、とてもじゃないけれど殺せない。
ひたすら気持ち悪い。
この技法は一つ間違えたら、グロテクスになってしまう。
最後のこの子はナマケモノに似ているかも。
特にこの顔がいい。
今年の書き初めは楽しかった。
【参考記事】
KEISUI ART STUDIO | 一筆蛇色々