先日タケノコを買ってきてタケノコご飯を作って食べたが、実にタケノコの香りと味がよく美味しかった。
我が家では奈良の倉庫があるところに狭いがモウソウダケの竹林があり、毎年、春先にかけて行っては筍堀りをやるので、タケノコをスーパーで買うということがなかった。しかし、余りに増えて倉庫のあたりまで侵食してきたので家族総出で地下茎堀をやったのが、やり過ぎたらしくそれ以後めっきり少なくなり、今ではタケノコを探してもほとんど見つからない。その結果、スーパーでタケノコを買う羽目になっているのである。

毎年、孟宗竹との戦いであった頃が懐かしく、記念にタケノコをデザインしたものを制作してみた。
地下茎でつながった生命力の強いタケノコの地中での生活を表現してみた。

モウソウダケの原産は中国江南地方といわれ、日本へは1736年(元文元年)に琉球を経由して薩摩(鹿児島)に渡来したらしい。主産地の京都地方では、中国出身の禅宗の僧である隠元が、1654年に宇治の黄檗山に孟宗竹を植えたともいわれている。京都の長岡にはタケノコ懐石料理で有名な錦水亭がある。時どき、錦水亭の真似をして作ってみるが、見かけだけは似ているが味は程遠い感じのものが出来上がるので、無駄な努力はやめてしまった。


タケノコのアクは、シュウ酸やホモゲンチジン酸とその配糖体などが主成分とされ、米ぬかやコメのとぎ汁や重曹などのアルカリ性の水で除くことができる。

我が家では、皮を剥いて大きなお鍋で米ぬかと一緒に茹でて柔らかくなったところで火を止めそのまま一晩おいてから料理する。春の料理には、このタケノコ抜きでは考えられらなかった。

直径60センチ以上もあるお鍋だけが残っているのが悲しい。


「雨後の筍」と言われるように、その成長は早く、気を許していると家の床下迄生えてくる。タケノコの段階で一つでも採っておこうとせっせと掘り起こしたものである。それでも夏ごろになると孟宗竹がこれでもかと言わんばかりに生い茂ってくるので、90センチぐらいのところで切り倒す。この竹切りが又大変である。チェーンソーがいくつもダメにしてしまった。切り倒した竹の葉の部分で焚火をして芋を焼く。毎年繰り返されるこのタケノコ行事に振り回されていたころが懐かしい。

NETで調べてみると、タケノコの栄養は計り知れない。
「ビタミン類では、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンEなどを含む。タケノコに含まれる食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維・セルロースで、コマツナやキャベツと同じ程度であるとされる。タケノコの豊富な食物繊維は、腸内の老廃物や有害物質を排出したり、同時にコレステロールの吸収を阻害する健康に役立つ。タケノコに含まれるカリウムは、高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出して血圧を下げる働きがあるといわれる成分で、タケノコを茹でても量はあまり減少しないのが特徴である。亜鉛、銅などのミネラル分も比較的多く含んでいる。」

今になってタケノコを見直しても遅いかな。写真すらないのである。しょぼしょぼと残っている竹だけでも大切にしよう。